PMS/PMDDとは
生理前に現れる心や身体の不調によって日常生活に支障を来たしている場合に月経前症候群(PMS)と診断されます。
中でも、精神症状が特に強く現れる場合を月経前不快気分障害(PMDD)と呼び、重度のPMSとして扱われます。
これらの症状は、月経が始まる3~10日前に始まり、月経が始まると数日以内に改善します。そして月経4日目~13日目までは症状が無いのが特徴です。
PMS/PMDDの症状 それぞれ違いはある?
PMSは情緒不安定やイライラ、抑うつなどの精神症状だけでなく、腹痛や乳房の張りなどの身体的な症状も含まれます。
PMDDは、PMSの症状の中で精神症状が特に強く現れる状態です。それぞれの症状について詳しく見ていきましょう。
PMSの症状
PMSの症状は人によって様々です。
よくある症状を以下の表にまとめています。
身体症状 |
精神症状 |
|
|
これらの症状があっても、日常生活に支障がなければ問題ありません。
しかし、日常生活や対人関係に影響が出ている場合は医療機関で相談してみましょう。
また、下腹部痛などの身体症状が強く出る場合は、PMSだけでなく子宮や卵巣などの器質的な異常の場合も考えられます。
そのため、一度婦人科で内診等の検査をしてもらうこともおすすめします。
自分がPMSかも?と思った方は、こちらでセルフチェックも試してみてください。
PMDDの症状
PMDDは、PMSの症状の中で精神症状が強く出る場合に診断されます。
よくある症状を以下の表にまとめています。
- 突然悲しくなる
- 涙もろくなる
- コントロール出来ないほどの怒りやいらだちを感じる
- 周囲の人とのトラブルの増加
- 著しい抑うつ気分や絶望感
- 日常生活や趣味、周囲の人への興味がうすれる
- 日常生活に支障をきたすほどの集中力の低下
- 過食または食欲の減退
- 不眠または過眠
診断のガイドラインも載せていますので、セルフチェックも試してみてください。
PMDDはうつ病と似ているため、障害者手帳はもらえるのかと疑問に思う方もいるでしょう。結論からいうと、場合によっては取得することができます。
例えば、
- 朝起き上がることができなくて仕事に行けない
- 場所を問わず涙が出てくる
- 心の不調で仕事や家事が手に付かない
など、日常生活に著しく影響が出ている場合です。
障害者手帳の取得には、各都道府県指定の医師による診断書が必要となります。
PMDDの診断書は精神科でもらうことができます。あまりにも症状がひどい場合は、精神科を受診しましょう。
PMS/PMDDの症状が生理中も続くことはある?
PMS/PMDDは「月経前症候群」「月経前不快気分障害」という名前の通り、月経周期に合わせて症状が出現します。
そして、”生理が始まると次第に治る”ことが特徴です。
PMS/PMDDが起こる原因
PMSやPMDDが起こる原因は実はまだはっきりと解明されていません。
しかし、
- 月経の無い年代の女性には症状がい
- 排卵が無い人には症状がみられない
- 女性ホルモンを抑制する薬剤を使用することで症状が改善する
以上のことから、女性ホルモンが深く関係していると考えられています。
女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があり、これらのホルモンは、排卵と月経周期に関与しています。
エストロゲン・・・子宮内膜を厚くする働きをする。また、生殖器官の発育にも関与している。また女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もある。思春期頃から分泌量が増え、20~30代でピークとなり徐々に減少していく。
プロゲステロン・・・妊娠の準備のためのホルモン。受精卵が着床しやすいように子宮内膜を安定させる。基礎体温を上げる、乳腺を発達させる働きもある。妊娠が成立しない場合は、排卵の1週間後頃から減少していく。
生理中 |
月経 |
両方のホルモン分泌量が低下 |
生理後から排卵まで |
卵胞期 |
エストロゲンの分泌が多い |
排卵時 |
排卵 | |
排卵後から生理まで |
黄体期 |
プロゲステロンの分泌が多い |
参考リンク「生理のしくみ|知っておきたい 女性のカラダ基礎知識|生理痛と女性のからだの悩み 生理のミカタ」
PMS・PMDDは特に排卵後に症状がみられます。
そのため、エストロゲンとプロゲステロンが同時に分泌されていることが誘因になっていると考えられています。
またホルモンの影響以外には、
- 生活習慣(食事、運動など)
- 嗜好品(煙草、酒など)
- ストレス
- 環境
なども関係していると考えられています。
月経困難症とは違う? PMS/PMDD
月経困難症とは、生理痛をはじめとした様々な不快症状によって日常生活に支障をきたしている状態を表します。そのため、月経が始まる前に起こるPMSやPMDDとは異なります。
月経困難症の主な症状は以下の通りです。
- 月経痛(下腹部痛、腰痛)
- お腹の張り
- 頭痛
- 吐き気、下痢
- 食欲不振
- イライラや憂鬱
一般的に、ほとんどの女性が月経時に生理痛などの何らかの症状を経験します。
しかし、鎮痛剤が効かないほどのひどい下腹部痛や頭痛、またはその他の症状によって日常生活に支障をきたしている場合には「月経困難症」という診断がつきます。
PMSとPMDDの検査と診断
PMSやPMDDには明確な診断基準や検査方法は無いのです。
そのため、出現する症状と月経周期の関連を確認するために数か月間記録をつけるなどして診断の指標にします。
他の疾患との鑑別をするために、血液検査やその他の検査を行うケースもあります。
PMS/PMDD 診断のガイドライン -セルフチェック-
<PMS診断基準>(ACOG A Resource manual. Fourth Edition 2014)
過去3か月の月経周期において、月経前の5日間に下記の症状が少なくとも1つ存在すれば月経前症候群と診断できる。 | ||
情緒的症状 |
身体的症状 | |
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| |
※これらの症状は月経開始後4日以内に解消し、少なくとも13日目までは再発しない |
参考リンク「PMS,PMDD の診断と治療」「月経前症候群(PMS)と月経前不快気分障害(PMDD)|京都済生会病院」
<PMDDの診断基準>(DSM-Ⅴ)
A. |
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B. |
更に、PMSは生活習慣を見直すことで症状を緩和させることもできます。 下記の症状のうち、1つ以上が存在する
| |
C. |
更に以下の症状のうち1つ以上が存在し、B.の症状と併せて5つ以上になる
| |
|
※A~Cの症状は、先行する1年間ほとんどの月経周期で満たされていなければならない |
PMDDはこれらの症状が日常生活において苦痛や困難を生じている場合に診断されます。
また、これらの症状がうつ病やパニック障害などのその他の疾患における憎悪によるものではないことが前提となります。
参考リンク「PMS,PMDD の診断と治療」
PMS/PMDD 病院に受診した方が良い?
PMSは直接命に関わる病気ではありません。しかし、日常生活や対人関係に支障が出ている場合には、早めに受診することをおすすめします。
月経は基本的にほとんど毎月きます。そのたびに月の3分の1を心身の不調で悩むのは健康的とはいえません。
病院は病気を治すところと思われがちですが、生活の質(QOL)を向上するために受診するのも大切です。
PMS/PMDD 何科に受診?-婦人科・精神科・心療内科-
PMSかもしれないと思ったら、まずは婦人科に受診しましょう。身体症状が強く出る場合、子宮や卵巣に異常がないかの確認も必要となります。
婦人科で相談した際に、PMDDの疑いがある場合は精神科や心療内科をおすすめされることもあります。
明らかに精神症状が強く現われ、自分でも月経周期による症状かうつ病かわからないというときは、精神科や心療内科に受診しましょう。
PMSとPMDDの治療法
PMSの主な治療方法は以下の通りです。
- 薬物療法
- 生活指導(生活習慣の改善)
- 運動療法
- カウンセリング
婦人科では主に薬物療法を中心とした治療が行われます。
また、PMSやPMDDには食事、運動、睡眠も深く関係しています。そのため、生活習慣の改善によって症状を緩和することもできるのです。
PMSとPMDDの治療薬はある?
PMS/PMDDは、原因がはっきりしていないため、これを飲めば治るという絶対的な治療薬はありません。しかし、症状を軽減するための薬はいくつかあります。
薬物療法には、2通りあります。
1つ目は、対症療法です。
- 痛みに対する鎮痛剤
- 便秘に対する下剤
- 浮腫に対する利尿剤
などが当てはまります。
2つ目は、PMS/PMDDそのものを軽減させる薬です。
- 低容量ピル
- 漢方薬
- SSRI(抗うつ薬)
などが挙げられます。
PMSとPMDDの治療薬 ①ピル
PMSは月経周期に伴うホルモンバランスが影響していると考えられています。
そのため、PMSの治療にはホルモンバランスを安定化させるためにピルが使用されることが多いです。
一般的に、PMSの治療薬としては、低容量ピルの中でもホルモン量が少ない超低用量ピルが用いられることが多いです。
などが用いられます |
これらのピルを服用することにより排卵を止め、ホルモンの増減の波を無くすことができます。
参考リンク「PMS(月経前症候群)って何?毎月訪れる不調はピルで治るかもしれ …」
PMSとPMDDの治療薬 ②漢方薬
漢方薬は、全身の不調を改善したりバランスを整える役割を果たします。PMSは人によって様々な症状が出ます。そのため、処方される漢方薬の種類も様々です。
PMS治療でよく処方される漢方薬は以下の通りです。
漢方薬 |
症状 |
桂枝茯苓丸 |
のぼせ、肩こり、生理痛 |
桃核承気湯 |
便秘、のぼせ、肩こり |
当帰芍薬散 |
頭重感、めまい、冷え症、肩こり |
五苓散 |
頭痛、むくみ |
加味逍遙散 |
精神不安などの精神症状、虚弱体質による肩こり、疲れやすさ |
半夏厚朴湯 |
不眠、不安感などの精神症状、動悸、めまい、吐き気 |
この他にも様々な漢方薬があり、その人の症状に合わせて処方されます。
参考リンク「月経前症候群(PMS)の漢方治療 - クラシエ薬品」
PMSとPMDDの治療薬 ③対症療法
対症療法とは、病気に対する根本的な治療ではなく、病気に伴って出現する症状を和らげる、または消すための治療です。
例
鎮痛薬 |
頭痛、下腹部痛、腰痛 |
便秘薬 |
便秘 |
胃薬 |
胃痛、胃部不快 |
制吐剤 |
吐き気 |
睡眠薬 |
不眠 |
抗不安薬 |
抑うつ、不安感 |
PMS/PMDD 対処法はある?
PMS/PMDDの症状とうまく付き合っていくためには、まず自分自身の症状について理解することが必要となります。
そのため、まずは自分の心身の変調と月経周期を記録していきましょう。
記録する内容
|
以上の内容をカレンダーに記入してください。毎月同じ症状とは限らないため、数カ月チェックすることで心身の変調と月経周期の関係を理解することができるでしょう。
この記録は受診の際にも役に立ちます。
また、あらかじめ不調な時期が予測できるようになると、以下のようなメリットがあります。
- 不調な時期を家族などの周囲の人に事前に伝えることが出来るため理解や協力を得やすい
- 大切な予定は不調な時期を避けるなどスケジュールを組む時に役立つ
不調時に仕事や家事が手につかない、イライラして子どもや家族に当たってしまうなどの症状に自己嫌悪していた人も多いのではないでしょうか。
このような方は特に、自分自身の不調がPMSによるものと知ること、またそれを周囲に理解してもらうことだけでも精神的負担が軽くなるでしょう。
その他に自分で取り組める対処法として、食事や運動、休息などの生活習慣の見直しが挙げられます。
これは、「病院に受診するほどではない」「薬に頼るほどではない」と感じている人にも有用ですので是非参考にして取り組んでみてください。
PMS/PMDDを緩和する生活習慣
生活習慣を見直すことは、PMSやPMDDに関わらず健康的な生活を送るために重要です。
特に、食事・運動・休息の3点を見直すことで様々な生活習慣病の予防にも繋がります。
PMS/PMDDの症状緩和のために日常生活で改善できることを、ひとつずつ解説していきます。
PMS/PMDDを緩和する生活習慣 1.食べ物
血糖値の変動はPMSの大敵
空腹による低血糖は、PMS症状によるイライラを助長する原因の一つと考えられています。そのため、血糖の急激な変動は避けましょう。
現在朝食を抜いている人は、朝食をしっかり摂るようにしてください。朝食を抜くと、空腹時間が長くなり低血糖を引き起こしやすくなります。
PMSに限らず、バランスの良い食事は心身の健康維持に重要な要素です。まずは不規則な食生活を改め、3食バランスの良い食事を摂ることを心掛けましょう。
また、血糖値の変動を最小限にする方法として分割食というものがあります。これは、糖尿病患者への食事指導でも良く行われている食事方法です。
3食の食事量を6回程度に分けて少しずつ摂取することで血糖値の変動を最小限にします。
控えた方が良いもの5選
(1)糖分
糖分の摂りすぎは血糖値を大きく変動させる要因となります。
PMSのある女性はマグネシウムが不足している可能性があると言われています。糖分の過剰摂取はマグネシウムの排泄にもつながるため、食べすぎには要注意です。
(2)塩分
pms症状として浮腫みのある人は、特に塩分量に注意しましょう。
塩分は体内の水分量と密接に関係しています。血液中の塩分(塩化ナトリウム)量が増加すると塩分濃度を下げようとして水を引き込みます。これが浮腫みの原因となるのです。
(3)大豆
大豆に多く含まれるイソフラボンは、エストロゲン(卵胞ホルモン)に似た作用をもちます。
エストロゲンの女性らしいからだをつくる働きや、肌を美しくする作用は本来喜ばしいことですが、女性ホルモンの影響を大きく受けるPMSでは注意が必要です。
普段の食事に適量取り入れるのは問題ないですが、必要以上に摂取するのは避けましょう。
(4)アルコール
アルコールの過剰摂取は浮腫みの原因となります。また、感情のコントロールが難しくなったり、抑うつ気分を助長させる原因にもなります。
完全に断つ必要はありませんが、PMSが出現する時期はほどほどにしましょう。
(5)カフェイン
カフェインには、神経を興奮させる作用があります。イライラや不眠を助長させる原因にもなるので、できるだけ避けるようにしましょう。
最近では、カフェインレスのコーヒーや紅茶も販売されています。どうしても飲みたい方はカフェインレスの飲み物を試してみてください。
積極的に摂るべきもの5選
(1)ビタミンB₆
ビタミンB₆はPMSの諸症状緩和のために、病院で薬として処方されることもあります。
ビタミンB₆には、神経伝達物質の働きをよくし感情をコントロールするはたらきがあり、イライラや気分の落ち込みなどの精神症状の緩和に有用です。
ビタミンB₆は魚や肉、鶏レバーなどの食品に多く含まれています。
しかし、PMS改善を目的とする場合、成人女性が1日に摂るべき量の数十倍の量を摂取する必要があるのです。
そのため、ビタミンB₆は食事だけでなく、サプリメントや医薬品で補う必要があるといわれています。
(2)ビタミンB12
ビタミンB12は血液を作る作用があります。そのため、貧血の症状が酷い場合に効果的です。
ビタミンB12は、魚介類や海藻類、肉や卵、乳製品などの動物性の食品に多く含まれています。
ビタミンB群は体内で協力して働くので、ビタミンB₆とまとめて摂るのがおすすめです。
(3)マグネシウム
先述したように、マグネシウムはpmsの症状に関係していると考えられています。マグネシウムも、ビタミンB₆と同様に精神を安定させるために重要な栄養素です。
マグネシウムは、ナッツ類やほうれん草などに豊富に含まれています。
(4)カリウム
カリウムには利尿効果があります。そのため、浮腫みがひどい人はカリウムを積極的に摂取しましょう。カリウムは生野菜や果物に豊富に含まれています。
浮腫みがひどいからといって、水分摂取を制限してはいけません。
(5)カルシウム
カルシウムには脳神経の興奮を抑える作用があります。そのため、pmsに伴うイライラを抑えるのに効果的です。
カルシウムは牛乳や乳製品に豊富に含まれています。牛乳や乳製品は他の食材に比べてカルシウムの吸収率が高いのでおすすめです。
乳製品以外では、小魚や大豆製品にも含まれています。
PMS/PMDDを緩和する生活習慣 ②運動と休息
PMS/PMDDの症状を緩和させるためには、運動と休息が重要になります。
運動と休息のバランスがとれると、リラックスした状態を維持することができ、ストレスが軽減するのです。
私たちのからだは、交感神経と副交感神経という2つの自律神経によって心身のバランスを保っています。
この自律神経を司どるのが脳の視床下部です。
視床下部は、卵巣ホルモン分泌の指令を行ったり、フィードバックを受け取る場所でもあります。そのため、自律神経と卵巣ホルモンは互いに関与しあっているのです。
そして自律神経や卵巣ホルモンに大きく影響を及ぼすものが「ストレス」です。
ストレスが過剰にかかると、自律神経のバランスがとれなくなります。すると、卵巣ホルモンも影響を受けホルモンバランスが乱れます。
自律神経の乱れとホルモンバランスの乱れは心身の不調を引き起こし、更にお互いのバランスの乱れによる影響を受け症状を悪化させるという悪循環に陥ってしまうのです。
適度な運動で血行を改善する
冷えはPMSの大敵です。また、月経痛の悪化にもつながります。
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動で血液循環を良くすることで、全身のあらゆる臓器に血液がいきわたります。そうすることで、下腹部痛や腰痛の改善に繋がるのです。
更に、運動によって汗をかくと体内の余分な水分が排出されるため、浮腫みも緩和されます。
そして、日常生活にメリハリがつき睡眠の質を高めることにも繋がるのです。
心身の休息でストレスを軽減する
先述したように、ストレスはPMS・PMDDに悪影響を及ぼします。
そのため、日常生活でうまく休息の時間を取り入れストレスを緩和する必要があります。
心身の休息というと「睡眠」だと思われがちです。もちろん睡眠は大切な休息の1つです。しかし、眠らなくてもリラックスすることが重要になります。
リラックスするための具体的な方法をいくつか紹介します。
①入浴
シャワーを浴びるだけや、熱い湯につかるのではなく、ぬるめの湯を溜めてゆっくりと浴槽につかりましょう。
②趣味に没頭する
音楽を聴く、映画を観る、植物や動物と触れ合う、本を読むなど自分自身に合ったリラックスの方法をみつけましょう。
音楽や映画は激しいものではなくできる限り穏やかなものがおすすめです。
③アロマやハーブティ-でリラックスする
香りは神経に影響を及ぼします。特にラベンダーやゼラニウムなどの香りは神経を休める効果があるのでおすすめです。
香りは、ルームフレグランスなどで手軽に取り入れることができるリラクゼーションアイテムです。
また、ハーブティーも試してみてください。PMSが出現する時期は、普段飲んでいるコーヒーや紅茶の代わりにハーブティーを飲むのがおすすめです。
味が苦手な人は、香りをかぐだけでも心を落ち着けることができます。
Q&A
PMDDとPMSの違いは何ですか?
月経前に起こる身体症状や精神症状を総称して月経前症候群(PMS)といいます。
PMDDはPMSの内、精神症状が特に顕著に現れる状態を指します。
月経前不快気分障害(PMDD)のチェック方法は?
PMDDは診断基準にさだめられた症状が5つ以上、一定の期間出現する場合に診断されます。
診断ガイドラインはPMS/PMDD 診断のガイドライン -セルフチェック-で確認できます。
PMDDになりやすい人は?
PMDDになりやすい人の特徴として、
- 自分に厳しく責任感が強い
- 気配りができる
- 几帳面な性格
などが挙げられます。
このような性格の人は、知らず知らずのうちにストレスを溜め込みやすいことが原因です。
また性格に限らず、飲酒や喫煙・食事などの生活習慣、肥満、うつ病や不安神経症、パニック障害などの精神疾患の既往なども要因として挙げられます。
他にも、対人関係や職場のストレスがPMS/PMDDの発症の引き金となることもあります。
PMDDの見分け方は?
PMSでも精神症状がみられるため、自分はPMSなのかPMDDなのか分からないという人も多いのではないでしょうか。
PMSとPMDDの診断基準の違いを簡単に比較してみましょう。
PMS |
PMDD |
|
|
また、PMDDはうつ病と間違われることも多くあります。しかしうつ病との違いは、月経周期に伴って出現することです。
PMDDの診断ガイドラインでは次のように定義されています。
- 月経前に症状が出現する。
- 月経開始数日以内に軽快しはじめ、月経終了後の週には最小限になるか消失する。
PMSとPMDDの両方を併発することはある?
PMSの内、精神症状が顕著に現れる場合をPMDDと呼びます。
PMDDの治し方は?自力で治せる?
PMDDは月経周期によるホルモンバランスの変化が主な原因であると考えられていますが、実際には原因ははっきりとわかっていません。
そのため、自力で完全に治すことは難しいでしょう。しかし、今よりも症状を緩和させることは可能です。
PMDDはホルモンバランス以外にも食事や運動、ストレスなど日々の生活における習慣の影響も受けていると考えられています。
自分で取り組める対処法についてはPMS/PMDDを緩和する生活習慣にまとめていますので参考にしてください。
PMSやPMDDの症状を緩和するために1番効果的な方法は内服薬です。
人によって薬との相性があるため効果は異なります。しかし、症状が辛い場合は医療機関に相談して内服薬も試してみましょう。
まとめ
PMS(月経前症候群)の症状は、身体的・精神的な様々な症状があることがわかりました。また、精神症状が著しい場合にはPMDD(月経前不快気分障害)と診断されます。
月経は病気ではないため、多くの女性が月経に関係する不快症状を我慢して過ごしています。
しかし、これらの不調が毎月10日前後続くとなると、QOL(生活の質)を著しく低下させるでしょう。
症状がひどく日常生活に影響を及ぼしている人は、迷わず医療機関に頼りましょう。ピルや漢方薬、不快症状に対する薬などを使って症状を緩和することができます。
更に、PMSは生活習慣を見直すことで症状を緩和させることもできます。受診するほどではないと感じている方は、生活習慣の見直しから始めてみてください。
また下腹部痛などの身体症状が強く出る場合、子宮や卵巣の器質的な異常も考えられます。疾患の早期発見のためにも、早めに受診をして必要な検査を受けましょう。
月経前や月経中に不快症状がある人にとっては月に一度の辛いイベントです。しかし、月経は妊娠を希望する女性にとっては無くてはならないものです。
自分自身の心身と向き合い、月経と上手に付き合っていきましょう。
参考文献
丸本百合子, PMS(月経前症候群)とうまくつきあう, 株式会社保健同人社, 2008.
毛利素子, その手があったか!PMSを治す77のワザ+α,[ これ効き!シリーズ], 株式会社保健同人社, 2010.