精神疾患は心(メンタル)の病気と捉えられている方も多くいます。
もちろんメンタル的な要素が大きい疾患もありますが、実は心の問題だけではなく脳の神経伝達物質が深く関係している疾患が多いのです。
精神疾患と関係のある神経伝達物質
幸せホルモンとも呼ばれるホルモン。脳の興奮を鎮め、リラックスさせる効果がある。セロトニンが不足すると不安やストレス、恐怖心などを感じやすくなる。 ストレスや睡眠不足、不規則な生活習慣などによって減少する。
ドーパミンの代謝産物である、神経を興奮させるホルモン。恐怖や不安を引き起こす。痛みを感じにくくしたり、覚醒させる働きがある。 過度のストレスなどによって減少する。
快感や意欲を感じさせるホルモン。運動の調節やホルモン、循環の調節にも関係する。 年齢に伴う脳の何らかの変化や、パーキンソン病などの特定の疾患などによって減少する。 |
これらの神経伝達物質が減少することにより、意欲の低下や判断力・集中力の低下などの様々な精神症状が現れます。
このような状態を改善するために、神経伝達物質を補う薬で改善を図る治療方法を薬物療法と言います。
うつ病やその他の精神疾患の治療には様々な薬が使用されますが、中には薬をやめた時や減らしたときに離脱症状が現れる薬もあるのです。
今回お話しする「シャンビリ症状」は、特にうつ病やその他の精神疾患の第一選択薬としても良く知られるSSRIやSNRIにみられる特徴的な離脱症状のひとつです。
離脱症状ってなに?シャンビリ感とは
前述した通り、シャンビリ感は、
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)の特徴的な離脱症状のひとつとして知られています。
一般的に離脱症状とは禁断症状ともよばれ、依存性のある物質が含まれるもの(薬物やお酒、たばこなど)を減らしたり、やめた時に現れる様々な症状のことを表わします。
依存症と聞くと、怖いイメージがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、ここでお話しする抗うつ剤による離脱症状は依存症とは少し異なるのです。
依存とは、酒や煙草、違法薬物のように徐々に耐性がつき、欲する量が増えていく状態です。
対して抗うつ剤は、耐性がつくことはなく効きが悪くなることはありません。煙草や酒、違法な薬物のように、精神的に「もっと欲しい」といった気持ちが生まれることも無いのです。
そのため正しく使用し少しずつ減量していけば、いずれは薬の使用を中止することができます。
離脱症状の起こりやすい薬は以下の3つの特徴があります。
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力価(薬の強さ)が高い
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作用時間が短い(半減期が短い)
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服用量が多い
このように、薬の効果が現れている時と、そうでない時の変動が激しいもの程離脱症状が起こりやすいということになります。
また離脱症状を起こしやすいといわれる患者側の特徴は以下の2つです。
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服用期間が長い
服用している状態のホルモンバランスに身体が慣れてしまっているため、減らしたり止めた時に身体に大きく影響する -
薬の代謝能力
代謝が速いほど薬の半減期が短くなるため、離脱症状を起こしやすい
シャンビリ感の症状はどんな感じ?
シャンビリ感の症状
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シャンビリ感は医学用語ではなく、造語にあたります。上記のような症状からこのような造語が生まれました。
シャンビリ感はなぜ起こる?原因は?
シャンビリ症状は薬によって脳内に増加していたセロトニンが、減量・中断したことによって一気に減少することで現れる離脱症状です。
中でも多いのが自己判断での休薬や減量によるものです。
稀に休薬や減量をしていないのにもかかわらず服用中にシャンビリ感が起こるという人もいます。
これは離脱症状としての症状ではなく、副作用として何らかの症状が現れていることが考えられます。
シャンビリ感が起こるかは、個々の体質にもよりますが、全く症状が現れないという人もいるようです。
シャンビリが起こる期間 いつ治る?
抗うつ剤による離脱症状(シャンビリ感)はいつまで続くのでしょうか。
多くの場合は、薬を1ヶ月以上使用しその後休薬または減量した場合に見られます。
休薬または減量後の2日目前後に出現し1~2週間程度続くと言われていますが、稀に重症の場合には2~3か月続くこともあります。
シャンビリ感以外に考えられる離脱症状
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消化器症状(食欲不振、吐き気、嘔吐など)
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睡眠障害(寝つきが悪い、悪夢を見るなど)
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自律神経症状(発汗、火照り、眩暈など)
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身体症状(手の震え、ムズムズ感、倦怠感、頭痛、筋肉痛など)
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精神症状(イライラ、不安感、気分の変動)
シャンビリを緩和させるには 抑える方法はある?
離脱症状に耐える方法や緩和方法を知りたいという人も多いでしょう。しかし、離脱症状は起きてから対処するのではなく、起こさないようにすることが最も大切です。
薬物療法で離脱症状を起こさないための注意点
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医師の指示に従って服薬する(自己判断での減量や休薬はしない)
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減量するときは一気に行わず、徐々に減らす
これらを守ることで、シャンビリ感やその他の離脱症状の出現を抑えたり、緩和することができます。
シャンビリが起きた時はどのような対処法があるのか知っておきたい人も多いでしょう。一般的に離脱症状の回復ステージという特定のものは今現在ありません。
仮に離脱症状が起きた場合でも日常生活に著しく影響が出ていない場合は様子を見るのも良いでしょう。
しばらく様子を見ていると身体が徐々に服用量に慣れてきて、それに伴い離脱症状も徐々に軽快していきます。
ただし、自己判断での減量や休薬によってシャンビリ症状が出現した場合は我慢せずすぐに主治医に相談しましょう。
離脱症状が起きた場合は主に以下のように対処していきます。
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離脱症状の程度により日常生活に支障をきたしている場合は元の服薬量に戻す
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その後落ち着いてきたら再度主治医と共に”いつ”、”どの程度”減量していくかを再度検討する。
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一度離脱症状が起きた後に再度減量を始める際は、薬を分割する等して減量のペースを落とす
※これ以上薬を小さくすることができない場合は服用を隔日にするなどして調整する場合もある
※半減期が短い薬剤の場合、服用回数を増やすことで薬剤血中濃度が大きく変動しないようにする
シャンビリ感と薬の関係
前述したように、シャンビリ感はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)の代表的な離脱症状です。
そのため、SSRI離脱症候群やSSRI中断症候群とも呼ばれています。
しかし、シャンビリ感はセロトニンの脳内濃度が急激に低下することで出現する離脱症状であるため、上記の薬に関わらず、セロトニンを増加させる薬であれば現れる可能性があります。
うつ病に対する薬物療法の基本は以下の通りです。
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少量から始めて徐々に増やしていく
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可能な限り最大用量まで増量する
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病状が落ち着いてもしばらくの間は同じ量で飲み続ける
薬によってはなるべく少量のままの方が良いもの(例えば睡眠薬や抗不安薬など)もあります。
しかし、抗うつ薬は一度飲み始めたら十分な量を十分な期間飲み続けることで力が発揮される薬です。
そのため、中途半端にやめてしまうと、完治しないまま再発してしまいます。
少量服用している間に症状が軽快すると自己判断で薬をやめてしまったり、増量するのを嫌がる人もいるが、原則として最大用量まで増量し、ある程度の期間服用しなくてはいけません。
なぜなら、特にうつ病は再発率が高いため、寛解後もしばらくの間は飲み続ける必要があるのです。特に寛解後数カ月は再発のリスクが最も高いと言われています。
このように、最大容量を目指す薬は他にもあります。例えば、双極性障害(躁うつ病)に使用される気分安定薬です。
近年では、不安に対してSSRI(抗うつ剤)を用いることが多くなっていますが、不安に対して処方された場合でも服用方法は同じです。
副作用は主に2つに大別されます。
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服用中の副作用
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その薬を止めた時や減らしたときに現れる副作用
抗うつ剤とシャンビリ
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)は抗うつ薬の中でも最も多く使用されています。
主に使用される抗うつ剤
脳内のノルアドレナリンやセロトニンの再取り込みを阻害し、これらの刺激伝達物質の働きを増強する。
脳内のノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、その働きを増強する。 また、脳内のシナプス前α2受容体を阻害し、シナプス間隙へのノルアドレナリン遊離を促進することでその働きを増強する。
脳内のセロトニンの再取り込みを阻害し、その働きを増強する。
脳内のセロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、これらの刺激伝達物質の働きを増強する。
脳内のアドレナリンα2自己受容体の遮断作用、セロトニン5-HT2及び5-HT3受容体阻害作用により、脳内のノルアドレナリンやセロトニンの働きを増強する。 |
上から順に三環系が最も古く、NaSSAが最も新しい抗うつ剤です。
新しくなるほど、目的の場所に選択的に作用するため、治療効果が高く副作用は出にくくなります。
しかし、必ずしも新しい薬が良いというわけではありません。人によって相性などもあり、古い薬の方が合うという人もいます。
また、薬の値段も新しいものの方が高い傾向にあるため、古い薬は経済的というメリットもあります。
これらの薬の中で、離脱症状としてシャンビリが出現するのはSSRIとSNRIのみです。
シャンビリ感を起こす薬① SSRI(セルトラリン/ソラナックス/レクサプロなど)
SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)とは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬といい、脳内のセロトニン濃度を上げる抗うつ剤です。
セロトニンの脳内濃度を上げることで気分の落ち込みや抑うつ気分を改善する薬です。
うつ病に限らず、様々な精神疾患の第一選択薬として世界中で使用されています。
効果発現までに時間を要するため、2~3週間以上の継続的な服用が必要です。
SSRIを使用する疾患
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SSRIの主な薬剤名称
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上記の薬剤は、疾患や患者の状態に合わせて処方されます。
レクサプロは副作用のほとんどない薬として知られています。
最も離脱症状を起こしやすいと言われている薬剤はパキシルです。パキシルは増量することで血中濃度が上がりやすい薬です。
そのため、減量時に血中濃度の激しく変動し離脱症状を起こしやすくなります。パキシルCRは離脱症状が出にくいように改良された薬剤です。
フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)も半減期が短いため、離脱症状の出やすい薬剤と言われています。
しかし力価(薬の強さ)が比較的弱いため、パキシルほど強い症状が出ることはありません。
セルトラリン(ジェイゾロフト)やエスシタロプラム(レクサプロ)は離脱症状の出現頻度が比較的少ない薬剤です。
またSSRIの副作用には、吐き気や眠気などもみられることがあります。
シャンビリ感を起こす薬② SNRI(サインバルタ/イフェクサーSR/トレドミンなど)
SNRI(Serotonin Noradrenaline Reuptake Inhibitor)とは、
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬といい、脳内のセロトニン、ノルアドレナリン濃度を上げる抗うつ剤です。
SSRIと同様に、セロトニンの脳内濃度を上げることで気分の落ち込みや抑うつ気分を改善します。
更に、活動性を上げたりやる気を向上させるノルアドレナリンの力も発揮する薬です。
SSRIと異なり、効果発現が比較的早く1週間程度で効果が現れます。
SNRIの主な薬剤名称
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SNRIの中で最も離脱症状が起こりやすいのはサインバルタです。要因としては、半減期が短いことと、カプセル製剤であることです。
カプセル製剤は、錠剤のように半分に割って処方することができません。そのため少量ずつ減量することができず離脱症状が起こりやすくなります。
向精神薬は飲まない方が良い?
ここまでSSRI、SNRIの離脱症状のはなしをしてきましたが、これらの薬に限らず向精神薬に対しての依存性を心配している人は少なくありません。
睡眠薬や抗不安薬などは依存するから精神科に行きたくないと思っている人も多いでしょう。
しかし、医師の指示に従って用法用量を守って服用している人は基本的に薬物依存の状態に陥ることはありません。
依存性が問題視されている薬物としては、「ベンゾジアゼピン系」の抗不安薬や睡眠薬が挙げられます。これらの薬は長期的な服用によって依存性や耐性が生じます。
ベンゾジアゼピン系の薬が依存性が高いことは数十年前から知られていますが、それでも多くの精神科医や心療内科医が処方する薬です。
なぜなら、服用後すぐに効果が現れやすいからです。
不安や不眠によって、元の疾患の根治治療に影響が出ている場合、まずは対症療法として速やかに不安や不眠を解消する必要があります。
有名なベンゾジアゼピン系の抗不安薬と睡眠薬
抗不安薬 |
睡眠薬 |
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どのような薬であっても服用しないに越したことはありません。
しかし、向精神薬は精神疾患の治療上必要なものです。どのような薬でも副作用はあることを十分に理解して使用しましょう。
副作用を起こさないためにも用法用量、適応疾患などを正しく守って使用する必要があります。
また、全ての薬に依存性や離脱症状があるわけではなく、副作用や離脱症状が出にくい薬も開発されてきています。
指示通り服用しても、副作用や離脱症状が起きる場合には、主治医に相談することで、薬の変更が可能な場合もあります。
向精神薬を服用するうえでもう一つ大事なことは、
精神疾患の治療は薬物療法だけでなく精神療法やカウンセリングなどその他の様々な治療方法と組み合わせて行っていくことを理解することです。
例えばうつ病の場合、精神療法やカウンセリング、薬物療法に加え休養も治療のひとつです。また、最近はTMS治療という新たな治療法も取り入れられています。
TMS治療とは
経頭蓋磁気刺激法ともいわれる治療法で、名前の通り磁気を用いて脳の特定の部位に働きかけ、脳の血流量を増加させます。これにより脳の低下した機能を改善していくという治療法です。 この治療法の最大のメリットは、薬物療法や電気けいれん療法(ECT)に比べて、副作用が少なく安全性が高いことです。 治療対象には様々な条件があり、誰もが受けられる治療法ではありませんが、以下のような方におすすめの治療法となっています。
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向精神薬の減らし方と止め方
向精神薬はうつ病や他の精神疾患の症状によって日常生活に支障をきたしている場合や、生命に危険を感じる場合(自殺企図や危険な行為など)に服用します。
医師が向精神薬を処方する際の基本は、必要な時に必要な量だけを処方することです。
逆に、医師が必要性がないと思った時には少量ずつ減量していきます。
それでは、具体的にどのような状況であれば必要がないと判断できるのでしょうか。
①減薬は1種類ずつ慎重に行う
服薬の必要がないと判断される時期は人によって様々です。
必要がないと判断するタイミングは慎重に見定める必要があります。
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精神的に安定している
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社会的な生活が送れるようになった(日常生活や対人関係)
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自分の病気について理解している
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心身に不調が出た時にすぐに自覚し、医師や周囲の人に相談することができる
このような患者に限り減薬を考えることができます。
更に、どの薬剤をどの程度の量から減量していくかも重要なポイントです。
2種類以上の薬を服用している場合は、必ず1剤ずつ減薬しなくてはいけません。
減量については、具体的な量や間隔は定められていません。
しかし、まずは最も小さくできる状態分(4等分できる錠剤であれば1/4個分)を、数週間~1ヶ月継続するように減らしていきます。
最も薬の力価が高く、副作用や離脱症状が強いとされるパキシルを減量する際には、40㎎から0にするまでにトータルで4~5カ月程度の時間をかけることが多いようです。
②薬が必要なくなっても通院は必要?
減薬から無投薬に成功した場合、定期的な通院は必要ないと思う人もいます。
しかし、カウンセリングや心理療法などのその他の治療は続けたほうが良い場合が多いです。
また定期的な通院がなくなっても、精神的に不安定な状態になったときは自分で自分の心の変化にいち早く気が付き、主治医に相談できる環境が必要です。
Q&A
シャンビリ って何?
シャンビリとは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬に見られる代表的な離脱症状です。
SSRI(フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、エスシタロプラム、アルプラゾラム)にの減薬や断薬によって離脱症状が現れた場合いつまで続くのかと不安になる方も多いですが、多くの場合は症状出現後1~2週間程度で収まります。
シャンビリ感は薬によって増加したセロトニンが、休薬や減量で一気に減少することで現れます。
多くの患者がシャンシャンという耳鳴りや、ビリっとした電気が流れる感覚異常が現われたと話すことから、「シャンビリ」という造語がつくられました。
シャンビリ感と薬の関係については「シャンビリ感と薬の関係」の章をご参照ください。
シャンビリ感 どんな感じ?
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シャンシャンという金属音のような耳鳴り
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全身のいたるところにビリっとした電流が流れる感覚が走る
上記のような症状が出現します。
シャンビリは眼球を動かしたり、頭を動かすときに現れることが多いようです。
詳しくは「離脱症状ってなに?シャンビリ感とは」の章をご参照ください。
精神安定剤で射精できないのはなぜですか?
向精神薬の中でも、特に性機能障害が現れやすい薬が、パキシルやジェイゾロフトです。
これらは抗うつ剤(SSRI)のひとつです。
副作用として以下のような性機能障害が現れます。
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性欲低下
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勃起(興奮)障害
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オーガズム(射精)障害
パキシルやジェイゾロフトを服用している患者の7~8割に性機能障害の副作用がみられます。
これらの症状で悩んでいる人は、恥ずかしがらずに主治医に相談しましょう。
性機能障害の副作用が現れにくい薬に変更することができる場合もあります。
セルトラリンは何に効く薬ですか?
セルトラリン(薬品名:ジェイゾロフト)はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)のひとつです。
SSRIは脳内のセロトニン濃度を上げることで、気分の落ち込みや抑うつ気分を改善させる薬です。
主に、うつ病や不安障害の治療として使用されています。
セルトラリンを含むSSRIの離脱症状はシャンビリだけではありません。他にも、ふわふわする感じがしたり、眩暈や手足のしびれ、胃のむかむかや苛立ちなどがみられます。
SSRIについて、詳しくは「シャンビリ感を起こす薬① SSRI(セルトラリン/ソラナックス/レクサプロなど)」のをご参照ください。
オランザピンやエビリファイでシャンビリは起こりますか?
オランザピン(ジプレキサ)は、神経伝達物質(セロトニン、ドーパミン)の受容体に作用し、働きを抑えてバランスを整える抗精神病薬・双極性障害治療薬です。
アリピプラゾール(エビリファイ)も抗精神病薬のひとつで、、ドーパミンという神経伝達物質の働きを調整します。
シャンビリはセロトニンを増やす薬を服用していた人が、減らしたり、やめたりしたときに、脳内のセロトニン濃度が一気に下がることで起こる離脱症状です。
そのため、オランザピンやエビリファイでは起こりません。
セロトニン濃度を上昇させるSSRIやSNRIの離脱症状として現れます。
エチゾラムの離脱症状は?
エチゾラム(デパス)の主な離脱症状は以下の通りです。
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痙攣発作
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不眠
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せん妄
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振戦
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幻覚
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妄想 など
エチゾラムは依存性が高く、離脱症状の起きやすい薬です。
エチゾラムはベンゾジアゼピン系の薬で、抗不安・催眠・筋弛緩などの作用があります。
ベンゾジアゼピン系の薬は向精神薬の中でも依存性の高い薬と言われており、更に作用時間が短いほど依存性も上がると言われています。
エチゾラムはベンゾジアゼピン系の中でも、特に作用が強い薬で、更に短時間作用型に分類される薬なので注意が必要です。
ベンゾ ジアゼピンによる離脱症状は、症状が辛く耐えられないという人も少なくありません。
そのため、長期的な服用や、処方された服薬量を守らずに乱用するのはやめましょう。
シャンビリは安定剤や抗不安薬の離脱症状?
シャンビリはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)といった抗うつ薬にみられる離脱症状です。
安定剤や抗不安薬の多くはベンゾジアゼピン系の薬となっています。
抗不安薬を使用しても不安が強く現れるときは、抗うつ剤や抗精神病薬が使用される場合も多くあります。
不安に対して処方される抗うつ剤
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SSRI(レクサプロ・ジェイゾロフト・パキシル・デプロメール/ルボックス
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NaSSA(リフレックス/レメロン)
不安に対して処方される抗精神病薬
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SDA(リスパダール・ルーラン)
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MARTA(ジプレキサ・セロクエル)
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DSS(エビリファイ・レキサルティ)
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定型(コントミン・レボトミン/ヒルナミン)
シャンビリ感が治らない いつまで続く?我慢しないといけないの?
シャンビリ感は、休薬または減量後2日前後に出現し、1~2週間程度続くといわれています。稀に重症な場合には2~3ヶ月続くこともあるようです。
医師の指示通りに服薬して離脱症状が現れた場合、日常生活に支障をきたしたり症状が特別ひどくない場合は様子を見ます。
ほとんどの場合、様子を見ていると次第に身体が服用量に慣れ軽快していく事が多いです。
ただし、自己判断での休薬、減量で症状が出現した場合には速やかに主治医に相談しましょう。
うつ病は一見寛解したようにみえても完治していなかったり、再発する可能性が高い疾患です。自己判断での減量、増量、休薬は危険なのでやめてください。
また、シャンビリ感に限らず副作用や離脱症状がつらい場合や日常生活に支障をきたしている場合には、我慢せずに主治医に相談し薬の調整をしてもらいましょう。
まとめ
シャンビリ感はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などの抗うつ剤を1ヶ月以上服用した場合にみられる特徴的な離脱症状のひとつです。
離脱症状が起こると、多くの人は「再発したのではないか?」「薬物依存に陥っているのではないか?」と勘違いしてしまいます。
しかし、このような考えは間違いです。自己判断での減量や休薬、乱用はせず、医師の指示に従って服用していれば基本的に依存や再発は考えにくく、多くの場合離脱症状であると考えられます。
向精神薬には他にも様々な薬がありますが、中には依存性が高く離脱症状が現れやすい薬もあります。
薬の副作用や離脱症状は患者本人にとって非常に辛いものです。そのため、服用量に注意し、減量は少量ずつ行うことが重要となります。
自己判断での減量、増量、休薬はやめましょう。
また、副作用や離脱症状が現れて辛い時には必ずかかりつけの医師に相談してください。
参考文献
[1]【精神科医が解説】抗うつ剤の減薬・断薬の方法 - 【公式】田町三田こころみクリニック
[2] 薬物療法
[4] 抗うつ薬の離脱・減薬(医師) | COMHBO地域精神保健福祉機構
[5] 向精神薬