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RSウイルスの症状は?
RSウイルスに感染すると、2~8日の潜伏期間を経て咳やのどの痛み、鼻水、発熱などの風邪に似た症状が現れるのが特徴です。
はじめてRSウイルスに感染した乳幼児のうち、約7割は咳や鼻水などの上気道の炎症による軽い症状で済み、1週間ほどで自然に回復します。
しかし、約3割の乳幼児では咳が悪化し、重症化する可能性があるため注意が必要です。
RSウイルス感染症が重症化すると以下の症状が現れます。[1]
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ひどい咳
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喘鳴(呼吸をするときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音がする)
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呼吸困難
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哺乳力の低下(乳児の場合)
RSウイルス感染症は初めての感染で重症化しやすく、とくに生後6ヶ月以内に感染した場合、細気管支炎や肺炎などを起こして入院が必要な状態になることもあります。
重症化すると無呼吸発作や急性脳症などの重い合併症を引き起こすこともあるため、上記の症状がみられたら早めに医療機関を受診することが大切です。
生後1ヵ月未満の子どもでは、呼吸困難などの典型的な呼吸器症状が出ていないにも関わらず無呼吸発作を起こすことがあるため、とくに注意しましょう。
症状のピークは何日目?ピーク時に出来る対処法は?
RSウイルスの症状のピークは4~5日目だといわれています。
咳や鼻水、発熱などの症状は発症から1週間ほどで治まり、回復することがほとんどです。
ピークを超えるまでは咳で母乳やミルクが飲めないこともあるため、こまめに飲ませたり、部屋の加湿をしたりするなどの工夫が必要です。
ひどい咳で眠れないときは、上半身を高くして横向きに寝かせると楽になります。
布団の下にバスタオルなどを入れて傾斜をつけたり、縦に抱っこしたりするなど楽な姿勢にしてあげるとよいでしょう。
RSウイルスは自然に回復することが多いため、機嫌がよくて呼吸が苦しそうでなければ慌てずに様子をみるか、かかりつけ医に相談すると良いです。
ただし、発症して4~5日経過しても症状が良くならない場合は注意が必要です。
呼吸が苦しそうな場合や食事や水分を摂取できない場合など、症状の悪化がみられたら早めに医療機関を受診しましょう。
大人と子どもで症状の違いはあるの?
大人がRSウイルスに感染しても、子どもと比べると症状が軽いことが多いです。
RSウイルス感染症は十分な免疫がつきにくいため何度も感染する可能性がある病気で、子どもだけでなく大人にも感染します。
大人の場合は軽い風邪程度の症状で済むことがほとんどで、RSウイルスに感染していても気付かないか、風邪として診断されることも少なくありません。
ただし、高齢者の場合は注意が必要です。
とくに、以下の状態にある方は入院が必要になったり、命に関わる状態になったりすることもあります。[2]
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呼吸器の病気(喘息や慢性閉塞性肺疾患など)
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心臓の病気
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免疫不全
上記の状態にある高齢者がいる家庭では、RSウイルスをうつさないよう感染予防の対策をすることが非常に重要です。
RSウイルスの感染経路
RSウイルスの感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」の2通りです。
麻疹ウイルスや水痘ウイルスのように空気中の飛沫核(飛沫の水分が蒸発した小さな粒子)を吸い込むことによる「空気感染」はしないと考えられています。[1]
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飛沫感染
RSウイルスに感染している人の咳やくしゃみ、会話などで飛散したしぶきを吸い込むことによる感染
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接触感染
ウイルスに感染している人との接触や、感染者が触れたことによってウイルスが付着した手指や物(手すり、スイッチ、ドアノブ、机、椅子、コップ、おもちゃなど)に接触したり、なめたりすることによる感染
RSウイルスの発症の中心は重症化しやすい0歳児と1歳児であるため、とくに乳幼児のいる家庭では感染予防が非常に重要です。
RSウイルスの感染予防対策は以下の通りです。[3]
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流水、石けんによる手洗い
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アルコール製剤による手指衛生
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子どもが使用するおもちゃや触れた場所の消毒
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咳や鼻水などの症状がある場合、マスクができる年齢の子どもや大人はマスクを着用する
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人混みを避ける
RSウイルスに2歳以上で再感染した場合は軽い風邪程度の症状で済むことが多いです。
そのため、兄弟や周りの大人が気づかないうちに重症化リスクの高い乳幼児に感染させてしまうことがあります。
咳などの呼吸器症状のある人は、できる限り乳幼児との接触を避けて感染させないことが大切です。
RSウイルスの治療方法
RSウイルス感染症には特効薬がないため、対症療法で症状をやわらげます。症状に合わせて咳や痰、鼻水を抑える薬や解熱剤、気管支拡張薬などが使用されます。
解熱剤は市販のものを使用することもできますが、小児には安全でない成分を含むものがあります。
薬剤師に小児用であることを確認するか、かかりつけ医に相談したうえで使用しましょう。
RSウイルスは、症状が軽い場合は特別な治療を行わなくても自然に回復します。水分をこまめにとり、脱水症に気を付けて安静に療養することが大切です。
重症化リスクの高い乳児や呼吸がつらくて哺乳ができない場合、夜間眠れない場合は入院が必要です。入院では点滴や酸素投与、呼吸管理などの治療が行われます。
入院が必要となるのは、ほとんどが6カ月未満の乳児です。[4]
重症化のリスクが高い注意すべき人とは?
RSウイルスは多くの場合軽症で済みますが、注意が必要な人もいます。
重症化のリスクが高い人は以下の通りです。[1]
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生後6か月以内の赤ちゃん
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早産・低出生体重の赤ちゃん
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ダウン症のある子ども
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心臓や肺に基礎疾患がある子ども(とくに早産児や生後24か月以下)
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神経・筋疾患がある子ども(とくに早産児や生後24か月以下)
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免疫不全の基礎疾患を有する小児(とくに早産児や生後24か月以下)
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慢性呼吸器疾患などの基礎疾患がある高齢者
RSウイルス感染症による重症化を防ぐため、日本では2023年9月に60歳以上の高齢者向けのRSウイルスワクチンが承認されました。
同年11月に妊婦向けのワクチンの使用も了承され、今後、厚生労働省の正式な承認を経てワクチンの接種が開始される予定です。
妊娠中の母親がワクチンを接種することでおなかにいる赤ちゃんに免疫をつけ、赤ちゃんのRSウイルス感染症を出生直後から予防する効果が期待されます。
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在胎期間(出産時の妊娠週数)が28週以下で、12か月齢以下の乳幼児
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在胎期間が29週〜35週で、6か月齢以下の乳児
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24か月齢以下のダウン症候群の乳幼児
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24か月齢以下の免疫不全を伴う乳幼児
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24か月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患(CHD)の乳幼過去6か月以内に気管支肺異形成症(BPD)の治療を受けたことがある、24か月齢以下の乳幼児
シナジスはRSウイルスに対する抗体で、体内でのRSウイルスの増殖を防ぐことにより重症化を予防する薬です。
シナジスの予防投与の開始時期や投与回数は、生まれ月や疾患により異なります。
予防注射の詳細については、かかりつけの医師にご相談ください。
まとめ:子どもの病気は早めの受診を心がけましょう
RSウイルスの主な症状は咳や鼻水、のどの痛みなど風邪によく似ています。
症状が軽い場合は1週間程度で回復しますが、重症化すると入院が必要になることがあります。
RSウイルスは2歳までにほとんどの子どもが1度は感染するウイルスですが、初めての感染では重症化しやすいため注意が必要です。
重い肺炎や細気管支炎を起こしたり、無呼吸発作や急性脳症などの重い合併症を引き起こす可能性があります。
子どもの病気は急変する可能性も十分にあり得るため、軽い風邪だと油断せずにしっかりと様子を観察することが大切です。
呼吸が苦しそうな場合や、食事や水分が摂れない場合は早めの受診を心がけましょう。
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参考文献
[1]厚生労働省|RSウイルス感染症Q&A(令和5年9月28日改訂)
[3]国立成育医療研究センター|RSウイルス感染症にご注意ください!!
[4]神奈川県衛生研究所|感染症情報センター|疾患別情報|RSウイルス感染症