2023-2024年のインフルエンザワクチンはいつから打てる?
例年ですと、インフルエンザワクチンは、9月下旬から10月初旬の間に接種開始となる医療機関が多いようです。[1][2]
この理由は以下の通りです。
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インフルエンザワクチンは9月中旬くらいから市場に供給され始める。
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9月末には、年度内の供給量の半数を上回る約1,660万本が出荷される予定である。(1,660万本は65歳以上の高齢者の約9割が1回ずつ接種できる量に相当する)
※例年8月下旬頃に厚生労働省より確定情報が発信されます。
具体的なワクチン接種開始日は医療機関によって異なりますので、それぞれ問い合わせるようにしましょう。
2023-2024年のインフルエンザワクチン供給はどうなっている?
今年度(2023-2024年)のワクチン供給量は、約3,121万本(成人では約6,240 万回分)となる見込みです。
これは昨シーズン(2022-2023年)の使用量と比較して約120%の供給量となります。
また、9月末には年度内の供給量の半数を上回る約1,660万本が出荷される予定となっており、ワクチン接種を希望する方に行き届く十分な量が供給されるでしょう。[1]
いつまでにワクチンを打つのが良い?
インフルエンザのワクチンは12月中旬までに接種することが望ましいといわれています。
インフルエンザは例年1月末〜3月上旬に流行のピークを迎える傾向にあります。
ワクチンの効果が期待できるのは「接種した2週後から5か月程度」と考えられているため、12月中旬までに接種を済ませておくとよいでしょう。[3][4]
ただし多少接種時期が遅れたとしても効果があることに変わりはないため、気づいた時点でできるだけ早くワクチンを受けることをおすすめします。
関連記事:インフルエンザ予防接種は受けるべき? ワクチンの効果や注意点について詳しく解説
予算はどれくらい?
インフルエンザワクチンの接種は病気に対する治療ではないため、健康保険が適用されません。原則全額自己負担となり、費用は医療機関によって異なります。
費用の相場としては、3,500円程度のところが多いようです。[3]
ただしお住まいの市区町村や職場によっては、以下の例のように独自の助成事業を行っている場合があります。[5]
【一部公費負担になる市区町村の例】
以下に該当する場合は1,500円の助成金が支給されます。
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65歳以上の方
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60歳以上65歳未満の方で、心臓、じん臓、呼吸器の機能、又はヒト免疫不全ウイルスにより免疫機能に1級相当の障害のある方
対象と思われる方は、それぞれ保健所や職場、医療機関などに問い合わせるようにしましょう。
インフルエンザワクチンは予約しないとできないの?
予約がなければワクチンを受けることができない医療機関が多いですが、一部予約なしで受けることができる医療機関もあるようです。
ただし、混雑を防止するためにも予約または医療機関に問い合わせてから受診することをおすすめします。
インフルエンザワクチンの有効性について
インフルエンザワクチンを接種すれば、インフルエンザに絶対にかからないというものではありません。
しかし接種することで発症リスクを下げたり、重症化や合併症を予防する効果があるとされています。[1]
これまでに日本で行われた、ワクチンの有効性に関する研究報告を一部紹介します。
【インフルエンザワクチンの有効性について 国内における研究報告】
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65 歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者について34〜55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があった。
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6歳未満の小児を対象とした2013/14〜2017/18 シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は 41〜63%であった。
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3歳未満の小児を対象とした 2018/19〜2019/20 シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は 42〜62%であった。
インフルエンザの2023-2024年シーズンはいつからいつまで?
インフルエンザの流行時期に合わせて、毎年第36週(8月末~9月初旬)から翌年の第35週までの1年間を「インフルエンザシーズン」としています。[6]
2023-2024年シーズンは2023年9月4日から2024年9月1日までです。
しかし、今年(2023年)はこのシーズンに入る前から季節外れの流行が始まっていました。下の図は、東京都のインフルエンザの流行状況を年別に示したものです。
【東京都の定点医療機関当たり患者報告数 2023年12月10日(第49週)まで】
引用:https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/flu/flu/ 東京都感染症情報センター
この図からも、2023年インフルエンザは第36週に入る前から流行が始まっていたことが分かります。
2023-2024年のインフルエンザワクチン株は?
インフルエンザワクチンは、ウイルスの病原性をなくし免疫をつくるのに必要な成分を取り出した「不活化ワクチン」です。
2023年現在インフルエンザウイルスのワクチンは
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A型株(H1N1株とH3N2株の2種類)
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B型株(山形系統株とビクトリア系統株の2種類)
のそれぞれを培養して製造されているため「4価ワクチン」と呼ばれています。[7][8]
厚生労働省と国立感染症研究センターが、毎年WHO(世界保健機関)から発表されるシーズンの流行株の情報を元に、日本で製造するワクチンの株の種類を決定しています。
今シーズン(2023-2024年)のワクチンは、以下の株から製造する4価ワクチンとなっています。
A型 H1N1 |
A/Victoria(ビクトリア)/4897/2022 (H1N1) |
A型 H3N2 |
A/Darwin(ダーウィン)/9/2021 (H3N2) |
B型 ビクトリア系統 |
B/Austria(オーストリア)/1359417/2021 (B/Victorialineage) |
B型 山形系統 |
B/Phuket(プーケット)/3073/2013 (B/Yamagatalineage) |
インフルエンザワクチンで副反応は出るのか
薬に「副作用」があるのと同じように、インフルエンザワクチンでも「副反応」がみられることがあります。
インフルエンザワクチンで比較的多い副反応は、以下の表のとおりです。
ワクチン接種を受けた人のうち症状がでる割合 |
症状 |
10〜20% |
接種した場所の赤み、はれ、痛み |
5~10% |
発熱や頭痛、寒気、倦怠感などの全身性の症状 |
これらの症状は2~3日で消失するケースが多いようです。
また、まれではありますがアナフィラキシー様症状(発疹、じんましん、赤み、掻痒感、呼吸困難等)やショックが見られることもあります。
これらの症状はワクチンを受けた後、比較的すぐに起こることが多いことから、接種後30分間は注意して経過観察するようにしましょう。
接種後に異常が認められた場合は、速やかに接種した医療機関に連絡してください。
まとめ:すでにインフルエンザになった人も接種しておくのがベスト
この記事では、今シーズン(2023‐2024)のインフルエンザワクチンの最新情報について詳しく解説しました。
要点をまとめると
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今年度(2023-2024年)のワクチン供給量は3,121万本となっており、ワクチン接種を希望する方に行き届く十分な量が供給される見込みである。
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インフルエンザワクチンは12月中旬までに接種することが望ましいが、多少遅れても効果はあるため可能なタイミングで受けることが推奨される。
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ワクチンを接種すれば絶対にインフルエンザにかからないというわけではないが、発症リスクを下げたり、重症化や合併症を予防する効果があるとされている。
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インフルエンザワクチンの副反応として、接種した場所の赤みやはれ、痛みなどの症状が現れることがあるが、多くは2~3日で消失する。
となります。
インフルエンザだけにいえることではありませんが、異なる種類のウイルスが同時流行している場合は複数回感染することがあります。
そのため一度インフルエンザに感染したという方でも、ワクチンを接種していない場合は、接種を受けることを検討しましょう。
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参考文献
[1]2023-24 シーズンの季節性インフルエンザワクチンの接種に関する 日本ワクチン学会の見解|日本ワクチン学会
[2]2023/24シーズンの インフルエンザワクチンの供給等について|厚生労働省
[4]新型インフルエンザワクチン接種事業(平成22年度)に関するQ&A|厚生労働省
[5]【令和5年度】山形市高齢者インフルエンザ予防接種費用の一部助成 について|山形市
[6]インフルエンザの流行状況(東京都 2023-2024年シーズン)
[7]2023/24シーズン向け インフルエンザワクチンの製造株について|厚生労働省
[8]インフルエンザの定期予防接種について|東京都保健医療局