インフルエンザワクチンの2つの効果、接種回数や間隔について解説

公開日: 2024/01/20 更新日: 2024/01/20
年明けからインフルエンザの流行のピークを迎えますが、ピークを迎える前にインフルエンザワクチンを接種しておきたいですね。 この記事では、インフルエンザワクチンの効果や、接種する回数・間隔について解説します。 また、「本当に効果はあるの?」「いつ打つべきか?」「打つとかかることはないの?」などの疑問についても、理由と一緒にわかりやすく解説しています。

インフルエンザワクチンの2つの効果

インフルエンザワクチンには

  1. インフルエンザの発症を抑える
  2. インフルエンザの重症化を抑える

という2つの効果があります。

発症を抑える|有効率はおよそ50%前後

インフルエンザの予防接種を受けたら、絶対にインフルエンザにかからないというわけではありません。

ウイルスが体内で増えて、発熱やのどの痛みなどの症状として出る状態を「発病」といいます。

インフルエンザワクチンの有効率については、成人の場合大体50%前後と言われています。

ただし、毎年ごとの流行株の変化や統計方法や調査データのばらつきがあるため、正確な数字ではありません。

ワクチンを打ってもかかる可能性があるなら「インフルエンザワクチンは効果がないのでは?」と感じる方もいるかもしれませんが、検討していただきたいのは重症化を抑える効果です。

インフルエンザの重症化を抑える

インフルエンザワクチンの最も大きな効果は、重症化を予防することです。

インフルエンザの発病後、肺炎や脳症などの重い合併症が現れることを「重症化」といいます。

特に、高齢の方や基礎疾患のある方は重症化リスクが高く、中には入院が必要になる方や死亡される方もいます。

研究の結果によれば、65歳以上の特別養護老人ホーム等へ入所している高齢者がインフルエンザワクチン接種したところ

  • 34~55%の発病を阻止
  • 82%の死亡を阻止

する効果があったとされています。[1]

インフルエンザワクチンは打つとかかる?不活化ワクチンの特徴

インフルエンザワクチンは不活化ワクチンです。

不活化ワクチンとは、ウィルスの毒性を弱め、感染する能力を失わせたものを原材料として使用しています。

そのため、ワクチンに含まれるインフルエンザウィルスによって感染することはありません。

ただし、インフルエンザワクチンを打てば、絶対にインフルエンザにかからないというわけではありません。

その年の流行株やワクチンの接種株によって、ワクチンを打ったにもかかわらずインフルエンザにかかることもあります。

参考:1シーズンで何度もインフルエンザにかかる理由|ファストドクター【往診・オンライン診療】

ワクチン有効率の計算方法

ワクチンの効果を示す数値として、有効率○○%という表記方法があります。

注意しておきたいのが、「有効率50%=ワクチン接種者100人のうち50人が発症しない」という意味ではありません。

ワクチンの有効率は、(1-接種者発症率/非接種者発症率)×100という計算式で算出されています。

これは、「ワクチン接種せずインフルエンザを発病した人が、もしワクチン接種をしていたら、何%くらい発症を抑えられたのか?」という割合を指しています。

例えば、非接種群のインフルエンザの発病率が10%,接種群の発病者が5%であれば、有効率50%となります。

あくまで接種群と非接種群の相対的な指標のため、「有効率50%=ワクチン接種者100人接種のうちの50人は感染しない」という指標ではないことに注意してください。

ワクチンはいつ打つべき?効果が出るまでの期間と持続期間

インフルエンザワクチンを接種してから効果出るまで、2週間程度の時間がかかります。

そのために、流行のピーク前に接種するなら12上旬までに打つべきでしょう。

インフルエンザの流行開始は11月下旬〜、ピークは1〜3月

インフルエンザは毎年11月下旬〜12月上旬頃に流行が始まります。

翌年の1~3月頃に患者数がピークに達し、4~5月にかけて減少していく傾向があります。

ワクチンの効果の持続期間はおよそ5ヶ月

インフルエンザワクチンの効果の持続期間は、およそ5ヶ月とされています。[2]

そのため、毎年流行シーズンの前(12月上旬頃まで)に接種することをお勧めします。

予防接種を10月に受けても早すぎることはない

ワクチンの抗体は接種してからおよそ5ヶ月は残っていますし、流行のピークを迎える1〜3月なので、インフルエンザワクチンを10月に接種しても早すぎるということはありません。

ただし、ワクチンが全国の病院に向けて出荷されるのが毎年9月下旬頃なので、あまりに早すぎると病院側で対応していないかもしれません。

毎年10月上旬からインフルエンザワクチン接種が開始されますが、詳細についてはお近くの医療機関にお問い合わせ下さい。

子供の場合|2回目の接種間隔や発症阻止効果

年齢接種回数1回の注射量
生後6ヶ月以内ワクチン接種不可
6ヶ月以上3歳未満2回接種
※1回目から2回目の接種は
 2~4週間の間隔をあける
0.25mL
3歳以上13歳未満2回接種
※1回目から2回目の接種は
 2~4週間の間隔をあける
0.5mL
13歳以上原則は1回接種0.5mL
参考:インフルエンザQ&A【インフルエンザワクチンの接種について】|厚生労働省

子供のインフルエンザの発症阻止効果

成人の場合は、接種したワクチン株と流行したウィルスが一致した場合、発病防止効果は50%前後といわれています。

小学生以上での効果はそれとほぼ同じで、年齢が小さくなるほど効果は低くなると考えられます。

3歳以下の場合のワクチンの効果については、1.5歳で21%、2歳で27%、3歳で31%発症リスクが下がるという結果が出ています。[3][4]

 1歳1.5歳2歳3歳
ワクチン接種なし

 

インフルエンザ感染率

5.4%8.5%9.0%15.9%
ワクチン接種あり

 

インフルエンザ感染率

5.7%6.7%6.6%11.0%
ワクチン接種/非接種

 

相対感染リスク

-6%21%27%31%

この研究は約10万人の子どもを対象とした大規模な調査となり、統計的にかなり信頼性の高い調査結果と言えます。

2回目の接種には2~4週間の間隔を空ける

13歳未満の子どもの場合、ワクチンは原則2回接種となっています。

その理由は、1回の接種だけでは高い抗体価の上昇が得られないからです。

(接種回数と年齢の基準は、国によっても異なります)

6ヶ月以上3歳未満の場合は、まだ成人ほど免疫力が強くないため、1回の注射量が半分に抑えられています。

また、2~4週間の間隔を空ける理由は、注射してから抗体ができるまで時間がかかるからです。

なお、生後6ヶ月以内の乳幼児の場合はワクチン接種はできません。

生後6ヶ月を越えれば予防接種が受けられるようになりますので、外出の機会が増える1歳頃になったら予防接種を受けましょう。

まとめ

  • インフルエンザワクチンには、発症を抑え、重症化を防ぐという2つの効果がある
  • 成人の場合は50%前後、小児の場合は20~30%の有効性があると言われている
  • ワクチンを打つべき時期は12上旬まで。

     

    効果はおよそ5ヶ月持続する

  • 13歳未満の子どもの場合、2回接種し、2~4週間の間隔を空ける
  • 不活化ワクチンなので、ワクチンに含まれるウィルスによって感染することはない
  • 流行株と接種株の違いなどによって、ワクチンを打ってもインフルエンザにかかることはある

インフルエンザは、これか流行のピークを迎える季節となりますが、

  • 予防接種を受ける
  • 免疫力を高める
  • 飛沫感染接や接触感染を防ぐ

などの方法で予防することができます。

インフルエンザの予防方法については、こちらの記事を参考にしてください。

【2022-2023年最新】インフルエンザとは?今年の発生状況や予防接種、コロナや風邪との違いを解説

インフルエンザ予防接種の料金については、こちらの記事を参考にしてください。

インフルエンザワクチンの料金の違いや自治体ごとの補助制度について解説

参考文献

  1. Effectiveness of influenza vaccination in infants and toddlers with and without prior infection history: The Japan Environment and Children’s Study.

>インフルエンザの症状がある方

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