インポスター症候群の定義
インポスター症候群は、1978年に心理学者のポーリン・R・クランス(Pauline Rose Clance)とスザンヌ・アイムス(Suzanne Imes)によって命名されました。
インポスター(imposter)は日本語で詐欺師という意味で、実際に能力を証明する証拠や評価があるにもかかわらず、実際には自分の実力はないと思い込み周囲の人をだましているように感じてしまう心理傾向です。
これは、あくまでも心理傾向であり、病気ではありません。
そのため、病院で診断されたり治療で治すものではないのです。
しかし、多くの場合当事者はインポスター症候群であることを自覚しないまま不安や自己嫌悪などのつらい感情を抱えて生活しています。
中には、会社や学校などの社会生活に支障をきたす人もおり、その結果、抑うつ症状やうつ病を発症してしまうことも少なくありません。
インポスター症候群とは?
インポスター症候群(impostor syndrome)とは、自己の能力や成果を極端に過小評価してしまう状態のことを指します。[1]
別名「詐欺師症候群」ともよばれます。
実際に能力や実績があるにもかかわらず、自分の能力を認められず、過大評価されていると感じ、その結果自分は人を騙していると感じるのです。
この心理傾向は、恋愛や友人関係などのプライベート、仕事や学校生活などの社会生活が、共に充実していたとしても起こり得ます。
ハリーポッターシリーズでよく知られる女優の「エマ・ワトソン」はインポスター症候群であることを明かしています。
このように、インポスター症候群は有名人の中にも存在しますが、実は身近に多く存在するのが現状です。
キャリアや能力のある女性に多いとの見解もあり、「株式会社ヴィエリス」は、2020年に丸の内勤務の女性108名を対象に「インポスター症候群」に関するアンケート調査を行いました。[2]
この調査の結果、インポスター症候群と判断するための6つの質問の全てが、半数以上該当する結果となりました。
更に「自分がインポスター症候群だと思う人」、「自己肯定感を持てていないと感じている人」は約半数も存在する結果となっています。
株式会社ヴィエリス[6]による「丸の内勤務の女性108名を対象にしたインポスター症候群に関するアンケート調査」の結果(調査期間:2020年11月13~17日)
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仕事について、自分の今の立ち位置は実力ではなく、運がいいから、周りの人に恵まれたからだと思うことがある
⇒ 81.5%があると回答(「とてもある」45.4%、「少しある」36.1%)
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実は自分に能力がないことを人から見抜かれるんじゃないかと不安になることがある
⇒ 73.2%があると回答(「とてもある」26.0%、「少しある」47.2%) -
自分がやり遂げた仕事の成果を褒められても、素直に受け止められないことがある
⇒ 66.8%があると回答(「とてもある」21.4%、「少しある」45.4%) -
エピソードとして頑張った時のことよりも、頑張れなかった時のことをよく覚えている
⇒ 70.4%があると回答(「とてもある」26.0%、「少しある」44.4% -
評価されたり、人と比較されることからできるだけ避けていると思う
⇒ 66.6%が思うと回答(「とても思う」25.9%、「少し思う」40.7%) -
仕事を任せられると他の人のほうが自分よりもうまくできるのにと思うことがある
⇒ 64.8%があると回答(「とてもある」27.8%、「少しある」37.0%) -
自己肯定感を持てていると思う
⇒ 49.0%が思わないと回答(「全く思わない」11.0%、「あまり思わない」38.0%) -
インポスター症候群だと思う
⇒ 46.3%が思うと回答
インポスター症候群に陥っている当事者の精神面を考えると、早期に対処法を講じる必要があります。
また、実力のある人間が自信の無さから挑戦することをやめたり、精神を病んでしまうことは企業側にとっても不利益となるでしょう。
そのため、企業側による理解やサポートによる予防や対応も重要となります。
インポスター症候群の人の特徴
インポスター症候群の人の特徴は主に3つあります。
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新しい挑戦を極端に避ける傾向にある
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他人と比較して自分自身を極端に過小評価する
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成功することに対して過度の恐怖心や不安を感じる
以下に一つずつ解説していきます。
①新しい挑戦を極端に避ける傾向にある
インポスター症候群の人は、新たなチャレンジを極端に避ける傾向にあります。
これは、失敗や他者からの評価を極端に気にしてしまうことが原因です。
また、今までの評価も自分の能力ではなく周りのサポートや運によるものであると考えているため、挑戦して失敗したら自分の能力がないことがバレてしまうという考えに陥っています。
②他人と比較して自分自身を極端に過小評価する
自分自身の成功や他者からの良い評価は、自分の能力が優れているからではなく、周囲の人のおかげや運によるものだと感じるのがインポスター症候群の特徴です。
特に女性の場合、「女性だから優遇されている」と感じたり、実際に周囲からそのように言われてしまうことが原因となる場合もあります。
仕事において、自分のまかされている仕事に対し「ほかの人の方がうまくできるのに」と感じているケースも少なくありません。
③成功することに対して過度な恐怖心や不安を感じる
インポスター症候群の人は、成功によって周囲からの評価が変化することを過度に恐れています。
もともと自分の成功は自分の能力によるものではないと思っていることから、成功が続き周囲の評価が上がるほど恐怖心が増すのです。
他社と自分の評価に差が出るほど、悩みやストレスが増加します。
そのため、自分自身が変化すること自体を躊躇し、①で挙げたように新しいことに挑戦することを避けるようになるのです。
インポスター症候群は日本で急増している!?
近年、日本ではインポスター症候群が急増していると言われています。
これは、日本特有の文化と、女性の社会進出も関係しているでしょう。
インポスター症候群に陥る背景にある日本特有の文化として、以下のことが挙げられます。
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個性や個人の能力より、同調や協調性を大切にする教育方針
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謙虚さを大切にする文化
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年功序列や終身雇用など、過去の雇用形態
上記のような文化によって、集団の中で突出して行動することに苦手意識があったり、自分の能力を卑下する人が多いのが日本人の特徴でもあります。
また、今までは個々の能力や挑戦することよりも「長く務める」ことが重要視されてきました。
このような時代背景が、個々の能力によるキャリアアップが主流になりつつある現代に追いついていないことも背景として考えられます。
更に、教育や文化、時代背景などによる性差の固定観念は完全に無くなったわけではなく、個々の意識と社会情勢にギャップが生まれているのも事実です。
以上のことから、女性の社会進出や能力重視の企業が増えるのに伴って、インポスター症候群に陥る人も増えていくと考えられます。
インポスター症候群は女性に多いって本当?
インポスター症候群は、男性より女性の方が多いと言われています。
しかし、実は研究結果でインポスター症候群の発生頻度の明確な性差が発表されていません。更に一部の研究結果では男性の方が多いと発表されているものもあるのが事実です。
では、なぜ女性の方が多いという見解が散見されるのでしょうか。
これは、世界的にみても男性より女性の方が社会での活躍において受けられるサポートが少ないからではないかと考えられます。
特に日本では、社会進出する女性は多くなっている一方で、いまだに男性主導の企業も少なくありません。
更に今までの文化や時代背景から男性に比べ女性の方が自分を卑下する傾向にあり、自己肯定感が低くなりがちです。
そのため、女性は「自分は運が良かっただけ」、「周りのサポートがあったおかげ」と感じやすいのです。
実際に、1978年にクランスとアイムスがインポスター症候群を提唱したときには、一部の好成績を収めた女性が陥る詐欺感情を説明するものとして発表されました。
しかしながら、その後の研究でインポスター症候群は女性だけでなく男性にも存在することがわかっています。
クランスとオトゥールは、女性の方が男性よりもインポスター症候群によって制限される可能性が高いと述べています。
しかしこれはあくまでも推測で、女性の方がインポスター症候群に対して気弱であると証明されたものではないのです。
その後別の研究結果で、「女性は男性よりも詐欺師に対する恐怖感が大きい」ことや、「女性は男性に比べて自分の知能に対する自信が低く、テストに対する不安が大きい」ことが報告されました。[4]
これらのことから、「インポスター症候群は男女ともに陥る可能性はあるが女性の方が多い傾向にある」と考えられていることは、ジェンダーによる性質だけでなく、文化的な背景や社会情勢も影響していると考えられるでしょう。
また、男女における違いに着目すると、インポスター症候群に陥る背景やその後の対処行動も異なることも明らかとなっています。[4]
大学生を対象とした研究[4]では、不安症とインポスター症候群に当てはまる女性と男性のその後の対処行動を以下のように報告しています。
女性の場合:自分の能力を証明するために、より熱心に働き競争する
男性の場合:自分の能力がないことが証明されないように、弱点が露呈する状況を避ける
男女の共通点としては、常に良い評価を得られるように自分の強みに着目される行動を追求し、そのように見えるように振る舞うという点です。[5]
つまり、インポスター症候群の人は良い評価に怯えていたり、嫌悪感を抱いているのにもかかわらず、良い評価を保とうと行動するのです。
インポスター症候群に陥る原因は?
インポスター症候群に陥る背景は人によって様々で、あらゆる原因が考えられます。
ただし、あくまでも考えられるというだけで、どの研究結果でもインポスター症候群に至るはっきりとした原因は特定されていません。
今回は、以下の3つの要因を掘り下げて詳しく見ていきましょう。
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心理的要因
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環境的要因
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家庭的要因
①心理的要因
インポスター症候群に陥る背景には、成功や変化、他者からの評価に対する恐怖心があると考えられます。
このような心理状態に陥るのは、仕事や学校での他者との関係性や、家庭での教育方針などが大きく影響しているでしょう。
②環境的要因
会社の上司や親、学校の教師などからの過度な期待によるプレッシャー、更に友人や同僚との関係なども原因のひとつと考えられます。
インポスター症候群の人は、周囲の変化に気が付きやすく他者の気持ちに敏感な人が多いです。
そのため、上司や親などの周囲の人が求めている答えが直観的にわかってしまうことが多く、それによって更に評価が上がるため、自分は人を騙しているという感覚に陥りやすいのです。
インポスター症候群については様々な研究結果が発表されていますが、非協力的な友人の存在によって男女ともにインポスター症候群に陥る可能性が高まることを発表した研究もあります。[5]
③家庭的要因
家庭環境は自己肯定感とも深く関係しており、人格形成や思考の傾向にも大きく影響を与えます。
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兄弟や姉妹と常に優劣を比較されて育った
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個性よりも人と同じであることが良いとされる環境で育った
このような家庭環境で育った人は、周囲の目や評価を極端に気にしてしまうため、インポスター症候群に陥りやすい傾向にあります。
更に、ある研究では「父親の過保護」と「父親のケアの欠如」によってインポスター症候群の発症率を高めることが発表されています。[5]
インポスター症候群を克服するには 対処法と改善策
前述したように、インポスター症候群はあくまで心理的傾向です。
そのため、インポスター症候群を薬などで治療する治し方というものはなく、自分を知り自分の思考の傾向とうまく付き合いながら克服するしかありません。
具体的な対処法・改善策を5つ紹介します。
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過去を振り返りインポスター症候群を引き起こしている背景を理解する
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自分を認め褒める習慣をつける
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完璧主義を手放す
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人に頼る習慣をつける
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優秀で尊敬できる人と生活を共にする
5つの対処法・改善策について一つずつ詳しく解説していきます。
①過去を振り返りインポスター症候群を引き起こしている背景を理解する
まずは、自分の思考の傾向を理解することが大切です。
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自分はなぜ自己肯定感が低いのか
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なぜ成功や他者の評価を受け入れられないのか
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その思考に陥りやすくなった背景はなにか
このように、自分自身を知ることから始めましょう。
多くの場合、過去の家族関係や現在の周囲の人との関係が大きく関係しています。そして、ここで重要なことはその思考をもつ自分をありのままに受け入れることです。
自己肯定感が低い自分を認め受け入れることから始めましょう。
②自分を認め褒める習慣をつける
小さな目標を立て、目標を達成したら自分を褒めるといった習慣をつけましょう。
大きな目標や成果ではなく、日常生活の中の些細なことの方が良いです。
大きな目標や成果は、達成してもまた自分の能力のおかげではないという思考に陥る可能性が高まります。
誰にでも達成し得る事柄である方がより自分自身を認めやすいでしょう。
また、もっとも重要なことは結果ではなくその結果に至るまでのプロセスに目を向けることです。
これは、周囲からのサポートとしても有用です。
評価や昇進の話をするときは、結果だけではなくそれまでの過程やプロセスでどのように評価したのかを伝えた方が、本人も評価を素直に受け入れやすくなります。
③完璧主義を手放す
インポスター症候群に陥りやすい人は、完璧主義で自分に厳しい人が多い傾向にあります。
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~でなければならない
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~しなくてはならない
このような思考をやめるように努力しましょう。
これは、自分自身に対してだけでなく他者に対しても同じです。
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失敗しても良い
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できない日があっても良い
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そんな日もある
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そんな人もいる
このような考え方を意識してみましょう。
④人に頼る習慣をつける
インポスター症候群の人は、完璧主義であったり他者からの評価を気にするあまり人に頼ることができない人が多い傾向にあります。
小さなことからで良いので、他者に頼る習慣をつけましょう。
「これくらい一人でやらないと」と思うことほど、他者と役割分担をしてみたり時には任せるようにしてみてください。
③④に共通して言えることは、自分で考えているよりも案外たいていのことは「なんとかなる」ものであるということです。
最初は不安かもしれませんが、その感覚を何度も繰り返し体験することが大切です。
⑤優秀で尊敬できる人と生活を共にする
他者と自分の評価に差異があるほど、インポスター症候群の症状で苦しむでしょう。
特に本来同等の立場にある集団の中で自分だけが良い評価を得ることは、よりインポスター症候群の症状を助長させます。
「あなたは優秀だから良いよね」
「あなたは何でもできてすごいね」
と羨む人よりも、むしろ「負けていられない」と高めあえるライバル的存在の人と過ごす方が精神的な安寧のためにも良いでしょう。
貴方自身が尊敬できる人の中に身を置くことでインポスター症候群に陥る環境的要因を少しでも減らすことに繋がります。
インポスター症候群はうつ病になりやすい?
インポスター症候群自体は、精神疾患ではありません。
そのため、病院で診断を受けたり治療をするといった表現は実は間違いなのです。
しかし、実際にインポスター症候群に陥っている人はストレスや不安を強く感じています。
このストレスや不安を放っておくと、抑うつやうつ病、適応障害などの精神疾患に発展することもあるのです。
実際に、インポスター症候群は70%の人が人生の中で一度は経験するとの報告があり、更に多くの研究でインポスター症候群の人はそれ以外の人に比べて不安が強いことが発表されています。[5]
逆に、うつや適応障害を患っている人の背景を掘り下げるとインポスター症候群であったというパターンも多く、実際にインポスター症候群と不安やうつは相関関係があるとされる研究も実在します。
前述したように、インポスター症候群は病気ではないため、治療によって完治を目指すものではありません。
しかし、カウンセリングなどによって自身の心理傾向と向き合いストレスを軽減する方法もあります。
インポスター症候群はHSPと何が違うの?
HSPとはハイリーセンシティブパーソンの略で、感受性が強く、細やかな感性を持つ人を指します。
「繊細さん」と呼ばれることもあり、感受性が強いゆえに傷つきやすく、更に音や臭い等にも敏感であるため、生きにくさを感じることも少なくありません。
インポスター症候群とHSPの共通点は「疾患」ではなく「気質」であることです。
更に、似ている点として以下の点が挙げられます。
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挑戦を避ける傾向にある
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自己評価が極端に低い
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周囲の変化や他者の感情に敏感
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他者からの評価を極端に気にする
インポスター症候群とhspの違いは、先天的にもつ気質か後天的に生まれた気質であるかという点です。
HSPは生まれ持った気質(先天的気質)であるのに対し、インポスター症候群は環境や心理的な要因から生まれる後天的な気質となります。
Q&A
インポスター症候群になりやすい人は?
インポスター症候群は男女ともに存在し、さらに様々な要因が絡み合ってこのような心理傾向になると考えられます。
実際の研究結果では発生頻度に性差はないまたは男性の方が多いと発表されているものがほとんどですが、インターネット上では自己肯定感の低い女性に多い傾向にあるとの見解が散見されています。
これは、文化的な背景や社会情勢の影響もあるでしょう。
インポスター症候群の人は実際に優秀で聡明な人が多いのも特徴です。
有名人では、ハリウッド女優の「エマ・ワトソン」やMeta(旧Facebook)の元最高執行責任者の「シェリル・サンドバーグ」がインポスター症候群であったことを明かしています。
他にも性格的な気質や、家庭環境なども関係していると考えられています。
性格的な気質
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完璧主義
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周囲の感情や変化に敏感
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優劣や評価を気にする
家庭環境
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姉妹、兄弟と比較されて育った
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個性よりも同調を大切にするように育った
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過保護や過干渉な環境で育った
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放任主義(ケア不足)な環境で育った
失敗も成功も含めてありのままの自分を評価されずに育ってきた人は、結果を強く気にするが故にインポスター症候群に陥りやすいのではないかと考えられます。
インポスター症候群の特徴は?
主に3つの特徴が挙げられます。
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新しい挑戦を極端に避ける傾向にある
成功や変化、他者からの評価に対する恐怖心ゆえに過度な失敗への恐怖心があります。また、自分は本当は能力がないと思い込んでいるため、失敗によって能力がないことがバレてしまうことを恐れています。 -
他人と比較して自分自身を極端に過小評価する
「女性だから優遇されている」と感じたり、「自分よりもあの人の方がうまくできるのに」と感じるなど、他者と比較して自信を卑下する傾向にあります。 -
成功することに対して過度な恐怖心や不安を感じる
周囲と自分の評価に差異が生じると、「自分には能力がないのにあるようにふるまって騙している」と感じやすくなります。
良い結果、悪い結果に関わらず自分の評価に何かしらの変化があることを極端に恐れています。
インポスター症候群を克服するにはどうすればいいですか?
インポスター症候群を改善するには、自分を知り自分の思考の傾向とうまく付き合っていく事が重要です。
5つの対処法と改善策を紹介しています。
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過去を振り返りインポスター症候群を引き起こしている背景を理解する
インポスター症候群に陥る心理傾向は後天的であると考えられます。
つまり、周囲との関係や家庭環境などの生活歴が影響しているのです。
自分を苦しめている思考がどのようにして生まれたのかの元を辿ることで考え方を変えるきっかけがみつかりやすくなるでしょう。 -
自分を認め褒める習慣をつける
インポスター症候群に陥る人は、完璧主義で自分に厳しい傾向にあります。
自分は成果を出さないと価値がない人間だと思い込んでいるため、結果や評価にこだわります。
このような人は、特に結果ではなくそこに至るプロセスが重要であることを自分自身が認める習慣をつけることが大切です。 -
完璧主義を手放す
完璧主義の人にとって、中途半端のままにしておくことはよりストレスになるのではないかと感じる人もいるでしょう。
しかし、完璧でなくても何とかなるという体験を繰り返すことが重要です。
完璧主義というのは、あらゆる精神疾患に関連しています。
いつも全力で頑張らなくても意外と何とかなるものだという思考の柔軟性は精神的な健康を保つうえで必要なことです。 -
人に頼る習慣をつける
人に頼る習慣をつけることは、②③とも大いに関係しています。
小さなことからでもよいので、人の力を借りたうえでの成功も経験しましょう。 -
優秀で尊敬できる人と生活を共にする
高めあえる関係性でいれる人の近くに身を置きましょう。
貴方自身が頑張ってきたプロセスを見ずに、安易に評価してくる人には特に注意が必要です。
「貴方はもともとできる人だから」
「何でもできるから任せても良いよね」
「上司に好かれているから評価されているんだね」
「女性だから優遇されているんだね」
などの無責任な評価をしたり、妬むような発言をする人によって、「人をだましている感覚」が助長されます。
このような人たちとは距離を置き、プロセスを評価してくれる人や良い意味でライバル関係でいられる人のもとで努力しましょう。
自分に自信が持てない病気は?
インポスター症候群は、「優秀なのに自分の能力に自信が持てない」状態です。
ただしこれは、病気ではなくあくまで心理的な傾向です。逆に病気によって自信が持てない精神状態に陥る場合もあります。
自信の無さが現れる疾患には以下のようなものが当てはまります。
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うつ病
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睡眠障害
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適応障害
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認知症
まとめ
インポスター症候群は、実際に実績や評価があるにもかかわらず自分の能力を過小評価する心理傾向のことを表します。
詐欺師症候群とも呼ばれ、周囲のサポートや環境のおかげで評価されているだけだと思い込み、騙しているような気持ちに苦しめられます。
このインポスター症候群は、一部の人だけに現れる特別のものではなく、誰しもが経験する可能性があるのです。
更に、インポスター症候群の症状によるストレスや不安を放置すると、うつなどの精神疾患に繋がる可能性もあります。
今回は、自分でできる対処法や克服のための方法を紹介しました。
しかし、少しでも社会生活における困難さや精神的苦痛を感じるのであれば精神科や心療内科、メンタルクリニックなどで相談するのもひとつの手です。
専門の機関に受診することで、カウンセリングや、具体的な対処法の指導を受けることもできます。
この症状に悩まされている人はもちろんのこと、会社や学校でインポスター症候群の人との接し方に悩んでいる人も、今回の記事を参考にしてみてください。
参考文献
[1]インポスター症候群とは?特徴や原因、対処法などを解説【医師監修】 | 埼玉県川口市のヒロクリニック心療内科
[2]丸の内ワーキングウーマンの46.3%が「インポスター症候群」だと自覚あり!約5割が自己肯定できない事実
[3]インポスター症候群とは?当てはまる人にみられる特徴や原因から対処法まで解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス
[5]Do You Feel Like an Impostor? | Psychology Today
[6]ヴィエリス