血圧が高いときの原因と症状は?血圧を下げる方法
血圧が高いと、心配になりますよね。しかし、「血圧が高い」とは、どのような状態なのでしょうか?
血圧が高い時の原因や症状、血圧を下げる方法を紹介します。
血圧が高くなる原因
血圧が高くなる原因は、主に以下の4つです。
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肥満
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塩分の摂り過ぎ
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ストレス
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喫煙
その他に、加齢や遺伝的な素因もありますが、基本的には生活習慣が大きく影響していると言えます。
高血圧の状態が続くと、徐々に血管がもろくなり柔らかさが失われます。これは、「動脈硬化」と言われる状態です。
動脈硬化は、脳卒中や心筋梗塞などの重大な病気を引き起こす原因です。
日頃から血圧コントロールを心掛けましょう。
血圧が高いときの症状
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頭痛
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肩こり
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めまい
上記のような症状が出る場合があります。しかし、高血圧はほとんどの場合、自覚症状がありません。
また、頭痛やめまいなどは、疲労がたまっていたり風邪を引いていたりしても出る症状です。
症状だけで血圧が高いか判断することは難しいため、普段から自宅で血圧を測る習慣をつけておきましょう。高血圧の早期発見につながります。
血圧を下げる方法
血圧を下げる方法として、以下の5つの生活習慣の改善に取り組みましょう。
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減塩の食事
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適度な運動
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禁煙
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ストレス発散
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飲酒制限
食塩摂取量は、高血圧ガイドラインで1日6g未満が推奨されていますが、高血圧でない一般の方も6g未満の摂取量が望ましいです。
また、血圧を下げるための運動として、有酸素運動が勧められています。肥満も血圧が上がる要因ですので、30分程度の有酸素運動を習慣づけましょう。
喫煙とストレスは、血圧が高くなる以外にも健康に悪影響を及ぼします。お酒は、休肝日を作り1週間単位で飲酒量を調整すると良いでしょう。
これらの方法は即効性はなく、根気よく取り組む必要があります。
しかし、生活習慣の改善がストレスになっても仕方ないので、徐々にできるところから始めてみましょう。
血圧ってなに?
「血圧の上とか下ってなに?」「数値を見ても意味がよくわからない」など、血圧に対してよくわからない方も多いでしょう。
心臓には全身に血液を届ける役割があり、収縮と拡張を繰り返して血液を送り出します。
心臓から送り出された血液が、血管の内壁を押す圧力のことを「血圧」と言い、「収縮期血圧」と「拡張期血圧」の2つの数値で表現されます。
血圧は一定ではなく、さまざまな要因が影響し、変動するものだということを認識しておきましょう。
収縮期血圧とは?
収縮期血圧は、最高血圧のことを指し、「上」とも表現されます。
心臓が収縮して血液を送り出すときに、血管にかかる圧力の数値です。
血管に強い圧力がかかるので、拡張期血圧より高い数値になります。
拡張期血圧とは?
拡張期血圧は、最低血圧のことを指し、「下」とも表現されます。
拡張期血圧は、心臓が膨らんで拡張している時に、血管にかかる圧力の数値です。
血圧の正しい測り方
血圧は一定ではなく、さまざまな要因で変動します。
そのため、正確な血圧を測るためには、決まった時間に同じ姿勢でリラックスして測定しましょう。
血圧測定のタイミング
血圧は、食事や入浴、運動などの日常生活動作でも変動します。他にも、季節や気温、時間帯などの環境も血圧が変動する要因になります。
では、いつ血圧を測定するのがいいのでしょうか。
血圧測定のタイミングは、基本的に1日2回、朝と夜の測定が推奨されています。
朝は、起床後1時間以内に測定します。トイレを済ませ、朝食や内服をする前に血圧測定をしましょう。夜は、就寝前に測定します。
いずれも、測定前に5分ほどの安静時間をもうけ、リラックスして落ち着いた状態で測定すると正しい数値が測定できます。
毎日、決まったタイミングで測定することが大切です。
血圧測定の方法
正しい血圧の測定方法と注意点を紹介します。
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血圧を測る前には、楽な姿勢で座り深呼吸をしてリラックスしましょう。
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落ち着いたら血圧計のカフを正しい位置に巻きます。カフが、きつかったりゆるかったりしないよう、ぴったりと巻きます。
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測定部位は心臓と同じ高さになるように調節しましょう。
カフを巻く時の注意点が4つあります。
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カフが関節にかぶらないよう関節より1〜2㎝上を目安に巻く
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上腕式のカフは素肌か薄手の肌着の上から巻く
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手首式のカフは素肌に巻く
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エアチューブは手のひら側にくるような向きに調整する
毎回、同じ部位で測定するようにしましょう。
血圧の正常値
「血圧を測ったけど、正常かわからない」「血圧の数値を見てもどんな状態かわからない」という方は多いです。
血圧の基準値は、以下の表のように分類されています。
分類 |
診察室血圧 |
家庭血圧 | ||
収縮期血圧 |
拡張期血圧 |
収縮期血圧 |
拡張期血圧 | |
正常血圧 |
<120 かつ <80 |
<115 かつ <75 | ||
正常高値血圧 |
120-129 かつ <80 |
115-124 かつ <75 | ||
高値血圧 |
130-139 かつ/または 80-89 |
125-134 かつ/または 75-84 | ||
I度高血圧 |
140-159 かつ/または 90-99 |
135-144 かつ/または 85-89 | ||
II度高血圧 |
160-179 かつ/または 100-109 |
145-159 かつ/または 90-99 | ||
III度高血圧 |
≧180 かつ/または ≧110 |
≧160 かつ/または ≧100 |
参考:「高血圧治療ガイドライン2019」より成人における血圧値の分類
診察室血圧とは、病院の診察室で測定する血圧を指し、家庭血圧は家庭で測定した血圧を指します。
血圧は、健康のバロメーターとして体の状態を表す指標です。せっかく血圧を測定するならば、自分の血圧の数値が正常なのか異常なのかを知り、健康管理に役立てましょう。
年代別血圧の平均と特徴
血圧の治療をしていない方は、年代によって血圧の基準値に変わりはありません。
しかし、すでに高血圧の治療中の方は、年代や既往歴、内服薬などで一般の方との基準値や治療目標値が変わる場合があります。受診した際に、担当の医師に確認しましょう。
基本的に年代で基準値は変わりませんが、血圧には年代ごとに特徴があり、年齢と共に上昇する傾向にあります。
理由として、年齢と共に血管が老化し、血管の壁が硬く弾力性の低い状態になる「動脈硬化」が進行するためです。
年代別の特徴を知っておけば、血圧の変化に注意することができますね。
40代
40代は、仕事も責任ある立場になり、子育てや介護など、重要な役割が増えます。
しかし、身体的機能は徐々に減退して瞬発力や持久力などが低下し、生活習慣病やその前兆が現れる時期です。
女性は、40代後半からエストロゲンが減り始め、閉経を目前にし更年期にさしかかる人も多いです。
更年期に突入すると、エストロゲンが減少し、血圧をコントロールしている自律神経が乱れるため、血圧が高くなりやすい状態になります。
40代の血圧の平均値
男性 |
125.8mmHg/81.3 mmHg |
女性 |
114.3mmHg/71.2 mmHg |
参考:厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査 」より第2部身体状況調査の結果
この中には、血圧を下げる薬を服用している人も含まれています。40代の平均血圧は基準範囲内ですが、早いうちから高血圧を改善し、予防しておくことは大切です。
50代
50代は「中年期の危機」とも呼ばれ、職場での責任が増す一方、私生活でも子どもの教育費や親の介護、老後の資産形成などの問題に直面する時期です。
さまざまな不安や心理的葛藤を感じやすい時期であり、自分の体型や体調の変化、健康診断の結果も気になり始める方も多いです。
この年代の女性のほとんどが閉経を迎えるのも、大きな変化でしょう。
50代の血圧の平均値
男性 |
131.7mmHg/82.0mmHg |
女性 |
123.7mmHg/75.4mmHg |
参考:厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査 」より第2部身体状況調査の結果
こちらのデータも血圧を下げる薬を内服している人が含まれていますが、40代の平均値より、少し上昇しているのが分かりますね。
60代
60代は、身体機能が徐々に衰え始め生活習慣病が増加するほか、壮年期死亡が目立つ時期です。
一方、社会では重要な役割を担うため、仕事と家庭において無理をしがちでストレスも生じやすいと言えます。
60代の血圧の平均値
男性 |
135.8mmHg/78.5mmHg |
女性 |
131.0mmHg/76.7mmHg |
参考:厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査 」より第2部身体状況調査の結果
男女ともに、正常高血圧値に入ってきているのが分かります。正常高血圧値とは、高血圧ではないが、高血圧に注意したほうが良いという血圧の値です。
70代以上
2019年の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳です。健康寿命は平均寿命よりも短く、男性72.68歳、女性75.38歳となっています。
70代以上の血圧の平均値
男性 |
135.8mmHg/73.1mmHg |
女性 |
136.1mmHg/73.0mmHg |
参考:厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査 」より第2部身体状況調査の結果
平均血圧も上がってきており、70代が一番多く悩まされる課題は健康です。
元気な老後を過ごすためには、70代での健康管理が重要になると言えるでしょう。心身共に充実した80代へ向け、血圧のコントロールも重要になります。
血圧が低い原因と症状は?血圧を上げる方法
生活習慣病のリスクを考えると、血圧は低い方が良いでしょう。
低血圧の明確な診断基準はありませんが、WHOの基準を参考にすると100/60 ㎜Hg以下の場合を低血圧とすることが一般的です。
しかし、低血圧であっても症状がなければ問題ありません。
血圧が低くなる原因
低血圧にも種類があり、それぞれ原因が異なります。
低血圧の種類 |
原因 |
本態性低血圧 |
遺伝的な体質 |
症候性低血圧 |
何らかの病気によるもの |
起立性低血圧 |
急に体を動かしたとき |
食事性低血圧 |
食事 |
血圧が低い時の症状
主な低血圧の症状は、以下の5つです。
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めまい
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立ちくらみ
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寝起き不良
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頭痛
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疲労感
血圧が低すぎると全身に血液を送る量が減少し、さまざまな自覚症状や臓器の機能障害が出現する場合があります。
基本的に低血圧は治療対象にならないことがほとんどですが、症状が日常生活に影響するならば、受診しておくと安心です。
血圧を上げる方法
日常生活で、血圧を上げることができる方法は以下の4つです。
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食生活を改善する
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水分をしっかり取る
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血液循環を良くする運動を行う
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食後にカフェインを摂る
食事は、塩鮭や梅干しなど塩分が高い食品を摂取することで血圧は上がります。
しかし、塩分の摂り過ぎは高血圧の原因になるため注意が必要です。その他、水分をしっかり取り、軽く汗ばむ程度の適度な運動を心掛けましょう。
カフェインは循環を良くする作用がありますが、苦手な方がいたり摂り過ぎて眠れなくなったりすることもあるので、無理に摂る必要はありません。
血圧計のおすすめは?
血圧計を選ぶときに、どう選んだらいいのか悩みますよね。
血圧計を選ぶ時のポイントは5つあります。
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血圧計のタイプ
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測定のスピード
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値段
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使いやすさ
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メモリーの有無
その他、アプリと連携できたり姿勢チェック機能やゆるみチェック機能が付いていたりするものがあります。
毎日使うものなので、それぞれのメリットとデメリットを踏まえて、使いやすく自分に合ったものを選ぶ方が続けやすくなるのでおすすめです。
Q&A
よくある質問を紹介します。
血圧の正常値は?
血圧の正常値は、年齢が上がっても基本的には変わりません。
血圧の正常値の表を参照して、自分の血圧が正常なのか異常なのか知ることは、健康の第一歩です。
ただし、すでに高血圧の治療中の方は、この基準値に当てはまらないことがあります。自分の治療目標値はどこにあるのか、担当医に確認し知っておきましょう。
最高血圧と最低血圧の差はどれぐらいがいいの?
最高血圧の数値から、最低血圧の数値を引いて求められる差を「脈圧」といいます。
「脈圧」は40~60が正常値とされており、この差が大きくなると血管の弾力性が失われ動脈硬化のリスクが高いことを意味しています。
血圧がどのくらい高くなったら危ない?
高血圧の基準値は上140mmHg、下 90mmHg以上です。その状態が長く続くと、脳卒中や腎不全、心筋梗塞を招く危険性が高くなります。
血圧はいつ測るのが一番いいの?
血圧測定のタイミングは、基本的に起床後と就寝前の1日2回測定するのが良いとされています。毎日、同じタイミングで血圧を測定するようにしましょう。
水をたくさん飲むと血圧は下がる?
水をたくさん飲むと、体内の血液量が増加します。増えた血液を、心臓は全身に送り出さなければならないため、拍出量が増加し血圧も上昇します。
血圧を下げるのに一番いい食べ物は何?
血圧を下げる作用のある代表的な栄養素は、カリウムです。カリウムは、野菜や果物、海藻類に多く含まれており、水に溶けやすい性質があります。
カリウム含有量が多い食材に、以下のようなものが挙げられます。
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ほうれん草
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アボカド
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春菊
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アーモンド
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カシューナッツ
ナッツ類はマグネシウムも豊富に含みますが、カロリーに注意が必要です。
血圧がいくつになったら病院に行く?
家庭血圧が135/85 mmHg以上になったら受診のタイミングです。
そもそも血圧が120mmHg/80mmHg以上になると、脳卒中や心疾患のリスクが上がることがわかっています。
症状が無い場合も放置せず、一度受診しておくと安心です。
まとめ
血圧は、高い状態を放っておくと、さまざまな病気のリスクになります。
元気な生活を長く続けるためにも、普段から血圧を測定する習慣をつけ、血圧を管理しておくことは大切です。
血圧が高めの方や気になる方は、生活習慣を見直しバランスの良い食事と適度な運動を心がけてください。
人間ドックや検診なども積極的に受け、早期発見と早期治療に繋げましょう。