糖尿病性EDとは?
糖尿病性EDとは、勃起障害のことです。性行為時に挿入できる勃起の状態ではないことや、挿入しても勃起が最後まで続かないことです。
EDは男性の10人に1人が経験し、性的な問題に限ることではありません。糖尿病に罹患し血糖のコントロールが上手くできていないと、EDになる可能性も高いです。
年齢によるEDであれば自然なことですが、糖尿病と合併してEDを発症しているなら治療が必要です。
また本人にEDの症状がある場合、糖尿病を早期発見するための手がかりになると言われています。糖尿病に罹患していなくても、EDの症状がある時は検査をしましょう。
男性の性的機能の健康状態を保つには、血糖のコントロールを正常に維持することが重要です。
糖尿病性EDの原因と症状とは?
糖尿病性EDの症状は、2つあります。
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動脈硬化
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神経障害
糖尿病になるとEDが起こりやすい原因は、血管と神経に最も負担がかかるためです。
糖尿病で血糖のコントロールができていないと、血管と神経が傷つけられ、ペニスへの血流を妨げることになります。
そのため性行為時の興奮や刺激が伝わりづらく、EDを引き起こしてしまうのです。
動脈硬化
糖尿病の典型的な症状である動脈硬化は、動脈の壁が薄くなり血の流れが悪くなる病気です。
動脈硬化によって、ペニスの動脈部分に血の流れが伝わりづらくなりEDを引き起こしてしまいます。
神経障害
末梢神経の代謝が悪くなり、糖尿病との合併症を引き起こします。
末梢神経の1つである自律神経がダメージを受けると、EDになりやすいです。自律神経とは、身体機能を整える神経のことです。
また糖尿病による神経障害が進むと、性行為時の興奮などを伝えることができず完全EDとなります。完全EDは、治療や薬が効かず重症化してしまう疾患です。
この状態になると、手の施しようのない病気になってしまうので、注意しましょう。
糖尿病性EDで合併症を引き起こす可能性も
糖尿病を患いEDを引き起こすと、合併症になるケースもあります。特に射精障害は多くのED患者に見られる症状で、性機能障害の1つとも言われます。
射精障害
射精障害とは、逆行性射精とも言われており、精子が膀胱に流れてしまうことです。
このような状態になると、勃起をしてても射精できません。神経障害と相まって射精障害が引き起こされます。
糖尿病とEDの関係は?
糖尿病に罹患すると、EDになる危険性が高いと言われています。
健康な人に比べて糖尿病に罹患している人は、EDを発症するリスクが2〜3倍に上がると言われています。EDは男性の10人に1人のリスクで発症する社会的な問題です。
アメリカの研究所の調査では、下記のことが明らかになっています。
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糖尿病の男性の20%から75%が、生涯にわたりある程度のEDを経験している
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糖尿病の男性は、糖尿病でない男性に比べ、EDを発症する割合が2〜3倍高い
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糖尿病の男性は、糖尿病でない男性に比べ、EDを10〜15年早く経験する可能性がある
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特に45歳以下の男性で、EDは糖尿病を早期発見するための基準となる可能性がある[1]
EDは、日々の生活習慣で改善できるでしょう。以下のEDの危険因子は、年齢だけ除けば減らせることができます。
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血糖のコントロールができていない
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コレステロール値が高い
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血圧が高い
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肥満の傾向がある
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喫煙歴、習慣がある
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運動不足[2]
1つずつ減らすことによって、EDを改善または予防することができます。
糖尿病性EDで病院に行くときは何科を受診すればいい?
ED症状が現われた時は、まず泌尿器科に受診しましょう。
ですが、EDになる原因はいくつかあります。例えば糖尿病によるものや精神的なもの、年齢的なものまで様々です。何が原因でED症状が出たのか、一概には分かりません。
EDの専門外来や泌尿器科またはかかりつけ医院で診察してもらい、ED症状の原因を明らかにして、合併症によるものであればその治療も必要です。
まずは泌尿器科やEDの専門外来を初めに受診することをおすすめします。
糖尿病性EDは治るの?改善させるための治療とは
糖尿病性EDの人には、主に2つの治療方法があります。
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EDの薬を服用する
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血糖値のコントロール
糖尿病性EDは、完治することが難しいです。EDの症状が現われたときから、元の状態に戻すことは大変厳しいと言われています。
しかし完治は難しいですが、性行為時にED症状を改善することは可能です。糖尿病性EDとどのように向き合っていくかが重要となります。
糖尿病性ED の治療/ED治療薬を服用する
EDの薬には、「バイアグラ」「レビトラ」「シリアス」の3種類の薬で治療されていましたが、2021年に「レビドラ」が販売中止になっており、現在では同じ薬のジェネリック医薬品「バルデナフィル」が使用されています。
どの薬も血管を広げる目的があり、性行為時の1時間ほど前に服用しましょう。服用された薬を飲むことで、性行為時の勃起のサポートをしてくれます。
薬が効かない場合もある
多くの場合は、以下のような人に処方されます。
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神経障害がある人
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血管障害がある人
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血糖コントロールができていない人
糖尿病性EDに罹患している全ての人に、効果のある薬ではありません。
薬の種類によっては、個人差があるので1種類を3〜4回ほど試してみて、自分に合った薬を見つけることが重要です。
また「シリアス」を使用する場合は、必ず医師の診察を受け処方してもらいましょう。
実際に起きた事例では、友人から貰った「シリアス」が偽薬と知らずに服用し、重篤な副作用を発症したケースがありました。
冷汗やふらつき、意識レベルの低下で低血糖を起こし、入院することも少なくありません。ED薬を安く手に入れるために、友人や知り合いからの譲渡は避けましょう。[3]
血糖値のコントロール
糖尿病性EDの症状を進行させないためにも、血糖のコントロールはきちんと管理しましょう。血糖値が不安定だと、EDの発症や進行が早くなり改善できなくなります。
正常な血糖値は6.0未満と言われていますが、まずは合併症を予防する目的で、血糖値を7.0未満に保つのが良いです。
糖尿病性EDは保険適用になるのか?
残念ながら糖尿病性EDは、保険適用になりません。
例えばEDの薬であるバイアグラは、命に関わっている薬ではないことや必ず使用する人が少ないことが原因で、保険適用から外されています。
バイアグラの薬代は1錠1,110〜1,300円程であまり高くありませんが、医療機関での診察や検査料などを加えると、結構な金額になりかねません。
10人に1人がEDに罹患するので、保険適用になる時は近いかもしれません。
糖尿病性EDには市販薬はあるのか?
ED(勃起不全)の薬は、医師の診察が必須なので、ドラックストアや薬局では販売していません。
稀に精力剤や漢方がED薬の代わりになるものと勘違いされますが、全く別物なので理解しておきましょう。
ED薬は本当に薬が必要なのか、持病などに影響がないかを医師が慎重に判断します。診察を受けた際は、必ず処方箋を持参して薬局へ行きましょう。
Q&A
糖尿病とEDの関係は?
糖尿病とEDの関係は、血糖のコントロールによって引き起こされる場合があります。
血糖の数値が高い状態が続くとEDとなり、性行為時に挿入できるまで勃起できない、挿入できても最後まで勃起した状態が続かないなどの症状が現われます。
また糖尿病の人がEDになるリスクは、糖尿病でない人の比べて2〜3倍になると言われており、男性の10人に1人はEDの経験をしている社会的な問題です。
糖尿病性EDは治せますか?
年齢的な問題でEDになってしまう人に比べて、糖尿性EDの人は完治が難しいと言われています。
EDの症状が現われた時点で、元の状態に戻すことはほぼ不可能です。しかし、治療すると性行為時にED症状が起きない状態にすることは可能です。
さらに糖尿病になってEDの発症や進行を早めないためにも、血糖のコントロールをしっかり行いましょう。
EDは治るのか?
年齢や精神的なものによってのEDであれば、完治することができます。一生、EDが治らないことはありません。
心理的な理由が原因でEDになった場合、薬を服用したり薬を服用しなくてもスムーズに性行為ができたりすることも可能です。
糖尿病とEDと朝立ちの関係は?
朝立ち(朝勃ち)の有無は、EDの前兆かを見極められるようです。
勃起は興奮することによって血液をペニスに集めているため、EDになっている場合は血液がペニスに集まっていないことになります。
その血液が集まらない原因は、糖尿病や高血圧症などの病気で動脈硬化が進行しているからとも推測できます。朝立ちができない状態があれば、早めに治療を行いましょう。
まとめ
糖尿病性EDの症状や関係、治療を紹介しました。糖尿病をキッカケにEDになる人は、男性の10人に1人の割合で可能性が低いとは言い切れません。
糖尿病性EDの悪化を予防するためには、血糖値をコントロールして日常生活の改善をしましょう。
HbA1cは7.0未満に抑えることを心がけ、無理のない範囲で運動を行うと糖尿病性EDの進行を防ぐことができます。
加えて、EDの治療は泌尿器科を受診し、医師の診察を受けます。治療薬は他人からの譲渡は受けず、必ず専門医の診察を受けることが重要です。
診察をしたうえで、自分に合った治療法を医師と相談して試してみるのも悪くありません。
また心理的ストレスを抱えないためにも、カウンセリングを行うこともあるので、安心して治療に取り組むことができるでしょう。
参考文献