うつ病の代表的な症状
代表的な、うつ病の症状は以下の通りです。[1]
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抑うつ気分
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興味や喜びの低下
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食欲や体重の変化
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不眠または睡眠過多
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焦燥または抑止
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疲労感や気分の低下
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価値観の減退や自責感の増加
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思考力や集中力の低下
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自殺企図
1、2はうつ病の代表的な症状になります。
他にも、さまざまな症状を引き起こします。
それぞれの症状について詳しく解説します。
抑うつ気分
抑うつ気分では1日中、気分が落ち込んでしまい、何もやる気が起きない状態を指します。
活気がなく周囲からも異変に気づかれることもあるでしょう。
日内変動があるため、一日の中でも元気のあるとき・ないときなど気分の変動を認めることも多いです。
具体例は以下の通りです。
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ネガティブなことを考えてしまう
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気分が晴れない
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気分が重く沈んでいる
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悲しい
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ブルーな気持ちになる
上記の症状が出現した場合は、「抑うつ気分」になっている可能性があるため注意しましょう。
興味や喜びの低下
興味や喜びの低下は、今まで興味を持って取り組んできたことに興味が持てなくなったり、喜びを感じにくくなったりする状態を指します。
今まで楽しかったはずの物事に対して興味がもてなくなり、何に対してもやる気が出なくなります。
家でぼんやり過ごすことが多くなり、外出する機会が減るでしょう。
具体例は以下の通りです。
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今まで楽しかったことに興味が持てない
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何をしても全然楽しくない
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嬉しいできごとに喜べない
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人と話したくない
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何をするにも面倒くさい
上記の症状が出現した場合は「興味や喜びの低下」になっている可能性があるため注意しましょう。
食欲や体重の変化
食欲や体重の変化は、食事について気をつけているわけではないのに食欲が低下したり、過食になったりする状態を指します。
食欲が低下するのに伴い、顕著な体重の変化を認めるようになります。
一方で過食になるケースもあるため注意が必要です。
食欲低下・過食ともに体調は徐々に悪くなり、疲れも残りやすくなるでしょう。
具体例は以下の通りです。
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食欲はないのに無理に食べる
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何を食べても味がしない
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偏食になってしまう
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極端に食べ過ぎてしまう
上記の症状が出現した場合は「食欲や体重の変化」になっている可能性があるため注意しましょう。
不眠または睡眠過多
不眠または睡眠過多は、眠れない日が続く・眠りが浅い日が続く・眠り過ぎてしまう状態のことを指します。
睡眠不足になると疲れがとれなくなり、疲労感が続くことも多くなるでしょう。
具体例は以下の通りです。
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寝つきが悪くなる
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夜中に目が覚める
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早く目が覚めて眠れない
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寝不足で疲れがとれない
上記の症状が出現した場合は「不眠または睡眠過多」になっている可能性があるため注意しましょう。
焦燥または抑止
焦燥や抑制は、落ち着きがなくなったり、何かをすることが億劫になり動きたくなくなったりすることを指します。
とくに高齢者のうつ病では焦燥感の症状が出る方が多いです。
具体例は以下の通りです。
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明日のことを考えると落ち着かない
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色々考えて胸が苦しくなる
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話しているときにも落ち着きがない
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うろうろと動き回ってしまう
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やらないといけないことがあるが動きたくない
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声が小さくなる
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口数が減る
上記の症状が出現した場合は「焦燥または抑止」になっている可能性があるため注意しましょう。
疲労感や気分の低下
疲労感や気分の低下は、普段何気なく行なっている日常生活でも疲労感が出現したり、気分の低下が出現したりすることを指します。
気分が低下しやすく、自分自身のエネルギーの減退を感じることが多いです。
具体例は以下の通りです。
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少しのことで疲れを感じる
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ずっと疲れがとれない日が続く
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何をやるにもやる気が起きない
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自分自身のやる気のなさを自覚する
上記の症状が出現した場合は「疲労感や気分の低下」になっている可能性があるため注意しましょう。
価値観の減退や自責感の増加
価値観の減退や自責感の増加は、自分自身を責めることが多くなり、自分や物事に対して価値の低下を感じやすくなる状態を指します。
責任感がなくなるため、自暴自棄になってしまうこともあるでしょう。
具体例は以下の通りです。
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急に自分自身を責める
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自分に価値がないと感じる
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少しのことで落ち込む
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存在価値がわからなくなる
上記の症状が出現した場合は「価値観の減退や自責感の増加」になっている可能性があるため注意しましょう。
思考力や集中力の低下
思考力や集中力の低下は、物事について思考力が低下してしまい、深く考えることが難しくなる状態を指します。
集中することができずに、何かに取り組んでいても継続が難しくなります。
また考えようと思っていても、頭がスッキリせずに頭が働かないでしょう。
具体例は以下の通りです。
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深く考えることができない
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集中できずに注意散漫になる
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物事がスムーズに進まない
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頭が全然働かない
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仕事や家事でミスが多くなる
上記の症状が出現した場合は「思考力や集中力の低下」になっている可能性があるため注意しましょう。
自殺企図
自殺企図は、繰り返し死について考えることが多くなる状態を指します。
自殺するためにどうすればいいかなど具体的に考えるようになるでしょう。
うつ病で最も注意が必要な症状です。
具体例は以下の通りです。
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生きていることが辛い
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死んでしまった方が楽
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なぜ生きているのかわからない
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死ぬにはどうすればいいか考える
上記の症状が出現した場合は「自殺企図」になっている可能性があるため注意しましょう。
うつ病の診断方法
うつ病の診断には、先述の「うつ病の代表的な症状」で記載した1〜9の症状を使用します。
診断方法は以下の通りです。
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1〜9つの症状のうち5つの症状以上が2週間ほとんど毎日続く
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少なくとも1つが「抑うつ気分」もしくは「興味や喜びの低下」であること
上記2つを満たした場合に「うつ病」の診断がつきます。
9つある症状の1つが当てはまれば、うつ病の診断がつくわけではありません。
診断については、2週間ずっと医療従事者が付き添っているわけではないため、本人もしくは家族が状況を主治医にしっかり説明する必要があります。
うつ病の原因
うつ病は生活している中で大きなできごとをきっかけに発症することがあります。
具体的なきっかけは以下の通りです。[2]
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病気・怪我などの身体の問題
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死別・事故などによる心理的な問題
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失業・借金などの経済的な問題
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転職・引越しなどの環境の変化
また高齢者では体力低下や精神的な機能が低下し、自信を失うことが原因で自宅に引きこもりやすくなるケースもあります。
ほかに社会や家庭での役割が低下し、孤独を感じやすくなることも引き金になります。
大きなできごとが起きた際に、周囲の家族や友人などが変化に気づくことが大切です。
精神的もしくは身体的な変化を認める場合は、早期に医療機関を受診しましょう。
うつ病の治療は大きく2種類
うつ病の治療は「ゆっくり休むこと」が非常に大切ですが、並行して2つの治療を進めること、でより改善に期待できます。
治療法は以下の通りです。
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精神療法
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薬物療法
精神療法では医師・臨床心理士が主に治療を進めます。
薬物療法では抗うつ薬の処方を行います。
それぞれ状況により治療法が異なるため、主治医の指示に従うことが大切です。
それぞれについて詳しく解説します。
精神療法
精神療法では医師・臨床心理士による認知行動療法などを中心に治療に取り組みます。
自分自身の気持ちは自分の意思では変えられないですが、考え方や行動は変えることが可能です。
認知行動療法によって、考え方の癖や行動のパターンを考えて寄り添うと少しでも気分が楽になるでしょう。
悲観的な考え方の人に対して「そのように考えると辛くないですか」「何をしていると少しでも楽ですか」など少しでも気分が晴れるように援助します。
薬物療法
薬物療法では抗うつ薬を中心に、症状や状態に合わせた処方を行います。
抗うつ薬はセロトニンやノルアドレナリンといった脳内のホルモンを増やす働きがあります。
また副作用にも注意が必要です。
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飲み始めのイライラ感
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吐き気
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急にやめたときの調子悪化(離脱症状)
とくに高齢者では若年者と比べて、副作用が出現しやすいため、薬の量も少しずつ調整する必要があります。
その他の薬との飲み合わせにも注意する必要があるでしょう。
うつ病のチェック方法
うつ病のチェック方法には方法には「簡易抑うつ症状尺度」があります。[3]
16項目の自己記入方式で0〜27点で点数化する評価になります。
項目は睡眠に関する項目、食事・体重に関する項目、精神状態に関する項目などさまざまです。
それぞれの項目を点数化し、うつ状態について正常・軽度・中等度・重度・極めて重度を評価します。
6点以上でうつ病の可能性があるため、心配な方は医療機関を受診しましょう。
Q&A
うつ病に関するQ &Aについて回答します。
うつ病は大きなできごとをきっかけに発症します。
高齢者では社会的や家庭での役割の消失が引き金になることもあるため注意が必要です。
うつ病についての疑問や不安については、主治医にしっかりと相談してください。
医師との良好なコミュニケーションは、治療を円滑に進めるためにも非常に大切です。
うつ病の初期症状は?
うつ病の初期症状は精神状態と身体の変化と2つあります。
精神状態については以下の通りです。
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涙もろくなる
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抑うつ
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気分がのらない
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やる気がなくなる
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興味がなくなる
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イライラしやすくなる
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自分を責める
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価値観がなくなる
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集中できなくなる
以上が精神状態の代表的な初期症状です。
身体の変化は以下の通りです。
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食欲がなくなる
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体重の変化
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眠れない
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いつもより眠りすぎる
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疲れがとれない
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身体の倦怠感が続く
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頭痛や胃の不快感
以上が身体の変化についての代表的な症状です。
精神状態や身体の変化は、すべての症状が一度に出現するのではなく、さまざまな症状が単独もしくはいくつかが合わさって出現します。
一時的であれば問題ないのですが、2週間以上続く場合などはうつ病になりかけている危険性があるため、医療機関の受診を進めましょう。
うつ病の三大症状は?
うつ病の3大症状は「抑うつ気分」「睡眠障害」「食欲変化」です。
「うつ病の代表的な症状」で先述した9つの症状の中でも、とくに代表的な症状になります。
一時的な気分の不調は誰しもあるものです。
気になる方は「簡易抑うつ症状尺度」で簡単なセルフチェックをお勧めします。
軽度うつの評価に当てはまる場合は医療機関を受診しましょう。
うつ病はどんな症状が出ますか?
うつ病はさまざまな症状が出現します。
代表的な症状は以下の通りです。
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抑うつ気分
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興味や喜びの低下
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食欲や体重の変化
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不眠または睡眠過多
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焦燥または抑止
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疲労感や気分の低下
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価値観の減退や自責感の増加
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思考力や集中力の低下
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自殺企図
ストレスを感じたり、気分が滅入ったり、やる気が出なかったりすることは誰しもあることだと思います。
しかし、上記の症状が長期間にわたり、続く場合にはうつ病を発症している危険性があります。
心療内科を受診して医師に相談しましょう。
軽度のうつ病の症状は?
軽度うつ症状は以下の通りです。
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気分が乗らない・晴れない
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何事にも興味が湧かない
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やる気が出ない
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自分を責めてしまう
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集中できない
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眠れない・寝付きが悪い
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すぐに起きてしまう
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食欲が湧かない・体重が減る
軽度のうつの場合には上記のような症状が出現します。
重度になると「自殺企図」など死について考えることも出てくるため注意しましょう。
うつ病の人にやってはいけないことは?
うつ病の人には励ましたり、説教したりすることは避けましょう。
「そんなくよくよしないで」「頑張って」「だからだめなんだ」などといった声掛けは逆効果です。
反対に相手の話に耳を傾けて、悩みや思いを傾聴することが大切です。
「どうしたの」「そうなんだ」「辛かったね」など肯定する言葉をかけて、寄り添うといいでしょう。
また抑止の症状が強く、声をかけても反応が乏しい方には「また来ますね」「少しでも話せて良かった」など無理に話しかけずに、時間をあけて接すると効果的です。
まとめ
うつ病の症状や診断方法、治療法について解説してきました。
うつ病は身近な病気であり、決して他人事ではありません。
うつ病の症状に少しでも当てはまると感じた方は「簡易抑うつ症状尺度」にてセルフチェックを行うことが大切です。
うつ病は自分自身で解決できる問題ではなく、家族や周りのサポートが重要になってきます。
精神科医・臨床心理士・家族が協力して治療に取り組む必要があります。
少しでも「うつ病かも」と感じた方は、医療機関を受診し、早期から治療に取り組みましょう。
参考文献
[1]東北大学|保健管理センター > 健康情報 > 保健のしおり>うつ病について