うつ病の再発原因4つを解説
様々な理由でうつ病は再発します。再発原因には何があるのでしょうか。
代表的な再発原因4つを解説します。
①自己判断で治療の中断をした時
うつ病治療において、精神療法や薬物治療は必要不可欠です。
うつ病は、治療後にすぐ治る病気ではありません。
少しずつ良くなったり悪くなったりを繰り返しながら回復していきます。体調がいい日が続くと、治療の必要性を感じなくなるかもしれません。
自己判断で通院や、内服を中断すると症状が重くなって出現する可能性があります。通院や薬の必要性がないと考えた場合は、主治医に相談してみましょう。
②不規則な生活が続いている時
睡眠や食事を十分にとれていないなど、不規則な生活が続くと脳や身体の回復が十分にできません。
疲れたままでの仕事や学校は、体はもちろん精神的にもストレスとなり、心の安定を確保できないでしょう。
なかなか寝付けず、不眠が続く場合は、主治医に相談することが大切です。
③環境の変化
仕事や学校への復帰や、転職・引越しなどの環境変化は、身体や心にストレスを与える原因になります。
新たな役割や生活の変化によってストレスを感じると、うつ病が再発する可能性があります。
つらい出来事だけではなく、昇格や結婚などの喜ばしい変化にも同じくうつ病再発の原因になることがあるでしょう。
④身体的な病気にかかった時
身体的な負担も、うつ病再発の原因となります。
体の不調からくるストレスや、長期にわたる治療により制限のある生活は、負担になります。
身体的にしんどい時期が長引くと不安も増してくる可能性が高く、うつ病再発の要因になるでしょう。
うつ病再発の兆候とは
うつ病再発の兆候は、初めてうつ病を患った時の症状と似ているといわれています。
代表的なうつ症状とは
代表的なうつ病の症状を7つ紹介します。
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物事に関心が無くなる
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気分が落ち込む
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笑わなくなる ・集中力の低下
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ぼーっとしている時間が長くなる
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睡眠障害
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食欲低下
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体がだるくて動けない
症状に個人差はあり、上記以外の症状が出現する人もいます。
これらの症状が2週間以上続く場合は、うつ病再発の可能性が高いため早めに受診しましょう。
うつ病再発?家族や友人が気づく行動の変化
家族や友人だからこそ気づく変化があります。
以下に行動の変化8つを紹介します。
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朝早く目が覚める、夜中に目が覚める、寝つきが悪いなどの睡眠障害
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急激な体重の減少や増加、食欲不振や増加が見られる場合
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ぐったりしていて、疲れがとれていない状態がみられる
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気分が落ち込んでいて、悲観的になる
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何事にも興味が沸かず、おっくうになる
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会社や学校を休む、遅刻が多くなった
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口数が減り、悲観的な発言がみられる
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人との接触を避け、テレビを見なくなった
これらの行動が見られるようになったら、早めに受診しましょう。
【参考文献】厚生労働省 こころの耳 ご家族にできること
うつ病再発のとき、家族やパートナーの対応はどうすればいい?
家族やパートナーがうつ病を発症した場合、家族の対応はどうすればいいでしょうか。身近な人が辛そうにしていると、何が正しいのかわからず対応に迷ってしまうでしょう。
大切な家族を支えていける方法をお伝えします。
うつ病の理解を深めましょう
家族やパートナーにうつ症状が出ていると、家族の協力が必要だと思いついつい力が入ってしまいますよね。
特別なことをする必要はありません。一緒に、うつ病について理解していきましょう。
異変に気づくことが大切
いつもと比べて「様子がおかしい」と家族だからこそ気づけることがあります。本
人はあまり気づいていない症状でも、家族なら気づくこともあります。
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ため息が多い
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寝つきが悪く、疲れがとれていない様子が見られる
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食欲がなく、食べる量が少ない
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自分を責めるような否定的な言葉が多い
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イライラして落ち着かない様子がみられる
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笑顔がない無表情または、つらそうな表情がよくみられる
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会社または学校を遅刻、欠席が多くなってきた
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人との接触を避けている行動が多くなってきた
以上のような症状や行動があげられます。
このような症状がよく見られるようであれば、早めの受診をすすめてみましょう。
元気づける言葉は使わないようにしましょう
「がんばって」などの言葉は言わないようにしましょう。
なぜなら、うつ病の人はがんばりすぎてうつ病になってしまったからです。これ以上「がんばれ」と伝えてしまうと、さらに苦しませることになります。
まずは、ゆっくり休息をとってもらうことを優先的に考えましょう。
安心できる環境づくり
うつ病症状でつらいときに必要なのは休息です。
安心して休める環境を作ることは、症状緩和につながります。
受診する場合は付き添う
本来、成人して外出の際に心配がなければ、受診に付き添う必要はないでしょう。
家族が付き添うメリットは、家族がどのような対応を行えば良いかを主治医に聞ける機会となることです。
家族として対応に悩んでいるときは、主治医に相談してアドバイスを聞いてみましょう。
自殺をほのめかす言葉を無視しない
うつ病は自殺の危険もある病気です。
ときに、うつ病の人は自殺をほのめかす言葉を口にします。
話をそらしたくなりますが、本人は話を聞いてもらえないと自殺願望を抱え込んでしまいます。
まずは、話の聞き役に徹しましょう。批判したり、励ましたりせずに話を聞くことが大切です。
主治医とも連絡を取り、見守りましょう。
家族も相談できる場所がある
家族やパートナーがうつ病でつらい思いをしているときは、家族も精神的につらい思いをしてしまいますよね。
本人だけでなく、家族が相談できる場所があります。
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当事者グループや家族の会
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かかりつけの医師
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地域でうつ病や自殺防止対策に取り組んでいる機関(保健所、精神保健福祉センター)など
家族の会は、同じ経験をした方と交流することができ、共感できることも多いので、参加を検討するのもいいのではないでしょうか。
【参考文献】厚生労働省 家族や友人がうつ病になったとき
うつ病の再発予防策は?
うつ病は再発率が60%といわれています。うつ病の症状が改善していても、再発しないよう予防することが大切です。
予防策を7つ紹介していきます。
①うつ病を理解し再発を予防する
再発予防には、うつ病の特性を知ることが大切です。
まず、うつ病は治療開始してもすぐに治らない病気だと理解しましょう。
早期に治療を始めた場合、治療期間も短いと言われていますが、一般的には約5〜9か月が改善までにかかる期間です。
そして、前回から2年以内の再発が多くみられます。
仕事復帰や休養後の環境の変化によるストレスが原因と考えられます。体調が落ち着いたからと、通院をやめずに続けることで再発を防げるでしょう。
②規則正しい生活を送る
規則正しい生活は、うつ病の再発を予防する効果があります。規則正しい生活とは睡眠・食事・運動がバランスよく行えていることです。
睡眠・食事・運動のポイントを説明します。
睡眠
- ある程度決まった時間に朝起きて夜寝る
良い睡眠は、寝ている間にコルチゾールというホルモンが分泌され、ストレスを軽減させる働きをしています。
7〜9時間眠ることができれば、心身の回復を期待できるでしょう。
食事
- バランスの良い食事を3食(朝、昼、夕)とる
毎日ある程度決まった時間に食事を摂ることで、生活リズムを整えます。
偏食はせずバランスの良い食事を心がけ、おなかいっぱい食べずに腹八分目を目安にしましょう。
運動
- 適度な運動を行う(無理のない範囲で散歩やストレッチなど)
適度な運動は骨を丈夫にし、骨粗しょう症の予防が期待できます。
日光を浴びることでセロトニンが分泌され、リラックスや睡眠の質を上げる効果が期待できるでしょう。
その他には、心肺機能の強化や血行促進が期待できます。
ほどよい疲れは良い睡眠につながり、生活リズムを整えることにつながります。
③相談できる場所を見つける
うつ病は、日本で約15人に1人かかる病気だといわれており、珍しい病気ではありません。
親しい友人や職場の同僚に、理解を示してくれる人を見つけるのが最も良いでしょう。
しかし、うつ病に対して相談できる相手がいない人が約30%といわれています。
まずは、主治医に相談してみましょう。
または、居住地の市区町村に精神保健保健センターの相談窓口があります。そちらに相談するのも良いでしょう。
【参考文献】うつ病を知っていますか? 厚生労働省
④自己判断で薬を減らしたり中断しない
体調がよく通院や薬物療法は不要だと感じる場合があるでしょう。薬を飲むことに抵抗がある人もいます。
うつ病は、よくなったり症状が出たりを繰り返しながら改善していく病気です。自己判断で通院や薬物療法を中断すれば、症状が悪化する恐れがあります。
治療や通院に不安がある場合、まず主治医に相談してみましょう。
⑤無理をせずできる範囲で、できることをする
仕事の復帰は、時短制度や部署異動など、負担を減らしてもらえるよう相談してみましょう。
家事・育児などは、1人で頑張らないようにしてください。家族に頼めることはお願いし、手助けしてもらいましょう。
できること以上に頑張ろうとすると、ストレスをためる原因になります。
周りに手助けを求めることも、うつ病の再発防止につながります。
⑥回復中は焦らずゆったり過ごす
うつ病の治療期間は個人差はありますが、5〜9か月はかかると言われています。
休職や休学していると、復帰に焦りを感じてしまうことがあるでしょう。焦って復帰すると、症状が悪化してしまう可能性が高くなります。
休養中は、ゆったり過ごして復帰の時期を待ちましょう。
⑦仕事復帰への焦りは禁物
うつ病で休職していると、不安や焦りがでてくるのも当然ですよね。
症状が軽くなったら復職を考えるタイミングになりますが、うつ病などの気分障害は短期間で完治することが難しい病気です。
焦りから自己判断で復帰すると、再発のリスクを伴います。
必ず主治医に相談し、復職のタイミングを決めていきましょう。
復職の準備をする段階で不安を感じた場合は、主治医に相談してリワークプログラムを利用する方法があります。
リワークプログラムとは、地域障害者職業センターや医療機関が実施する復職支援のプログラムです。
軽作業を行ったり、再発を防ぐ方法を知ることができます。
詳しくは、主治医に相談または地域の障害者職業センターに問い合わせしてみましょう。
【参考文献】全国健康保険協会 協会けんぽ健康サポート 自分でできるメンタルヘルスケア
Q&A
うつ病再発に関するQ&Aを5つ紹介します。
うつ病が再発してしまう原因とは?
うつ病が再発してしまう原因を紹介します。
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自己判断での治療中断
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不規則な生活が続いている
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環境の変化
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身体的な病気にかかり、心身共に負担がかかる
その他にも、初めてうつ病にかかったときに原因となった事柄(仕事など)が原因と考えられます。
うつ病になった原因がわかるのであれば、できるだけ要因を取り除くことが大切です。
例えば、仕事が原因になっているのであれば、業務内容の変更や異動も視野に入れてみましょう。
うつ病は何度も再発してしまう?
うつ病が改善しても、再発予防を心掛けましょう。
自己判断での治療中断をせず、疑問点や不安があれば主治医に相談してください。
うつ病はいったん改善しても、約60%は再発します。2回かかった人で70%、3回かかった人で90%と再発率は高くなります。
うつ病は一生付き合っていく病気?治らない?
うつ病は治療をすれば仕事や学校に復帰でき、辛い症状が改善します。
しかし、再発の可能性が残るのが現実です。
仕事や学校に復帰しても、頑張りすぎないように心がけてください。
うつ病が再発したら仕事はどうする?
辛くてどうしようもないときは、無理せず休みましょう。
長期にわたり不調が続き、働けない場合はすぐに退職を検討せずに、まず上司に相談してみましょう。
休職中は、傷病手当金が受けられるため、経済的にも安心です。
うつ病再発の兆候とは?
うつ病再発のサインは、うつ病の初期症状と同じ症状がでます。
うつ病の自己チェックを紹介します。
チェック項目
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毎日の生活に充実感がない
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これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった
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以前は楽にできていたことが、今はおっくうに感じられる
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自分が役に立つ人間だと思わない
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わけもなく疲れたような感じがする
判定方法 2項目以上が2週間以上ほとんど毎日続いていて、つらい気持ちになったり、日常生活に支障が出たりしている場合、再発の可能性があります。
早めにかかりつけの主治医または、医療機関を受診しましょう。
【参考文献】厚生労働省 うつ病を知っていますか?
まとめ
昨今、新型コロナウイルス流行でうつ病患者は増加傾向です。
うつ病は症状が改善しても、再発率は60%で、うつ病患者の誰もが再発する可能性があります。
再発を起こさないために、予防対策が大切です。
うつ病再発予防のポイントを以下にまとめました。
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自己判断で通院や内服薬を自己判断で中断しない
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うつ病は体調が良い時期と、つらい時期を繰り返し改善していく
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早期に治療を開始すると、早めの改善が見込める
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回復までには、一般的に5〜9か月かかるため、焦らず治療することが大切
つらい症状がある時には、「本当によくなるのかな」と不安になることもあるでしょう。
継続的な治療がうつ病の再発予防に重要です。
また、つらいときは無理をせず、早めに受診しましょう。
参考文献
國井泰人 コロナ禍におけるメンタルヘルスの実態と科学的根拠に基づく対策の必要性