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認知症ともの忘れの違い
認知症のイメージとして、「もの忘れ」を想像する方が多いです。
しかし、ちょっとした「もの忘れ」であれば、若い方でも起こることがありますよね。
認知症ともの忘れの違いは、一体なんなのでしょうか。
認知症によるもの忘れの特徴
認知症によるもの忘れの特徴として以下のエピソードが挙げられます。
- ものごと自体を覚えていない
- ヒントが与えられても思い出せない
- 新しいものごとを覚えられない
- 忘れたという自覚がない
- 日常生活に支障が出る
大きなポイントは「その記憶自体があるかどうか」です。
たとえば、「友達と映画に行く約束をしたんだけど、待ち合わせは何時だったかな?」のように、部分的に忘れてしまった経験が、誰でも1度はあるかと思います。
これは「単なるもの忘れ」です。
しかし、「そんな約束はしていない」「そもそも、その友人と話していない」など、約束したこと自体を忘れていたのであれば「認知症によるもの忘れ」の可能性があります。
記憶自体がないので、いくらヒントを与えても思い出せず、誰かに指摘されたとしても「忘れていた」という自覚ができません。
こういったもの忘れがいくつも生じることで、日常生活がままならなくなっていくのが認知症です。
認知症の初期症状
認知症の4つのタイプと、それぞれに特徴的な初期症状をご紹介します。
アルツハイマー型認知症
認知症の約70%がアルツハイマー型認知症です。
脳内にアミロイドβというタンパク質がたまることで神経細胞が壊され、脳が萎縮することで発症します。
ほとんどが65歳以上の高齢者ですが、若年性アルツハイマー病といって若いうちに発症する場合もあります。
アミロイドβがたまる原因は、まだはっきりとわかっていません。
糖尿病や高血圧などの生活習慣病を持っていると、持っていない方と比べて発症率が高いのではないかといわれています。
アルツハイマー型認知症の初期症状
- ものを失くす、正しい場所に戻せない
- 近い記憶からなくなる
- 新しいことが覚えられない
- 質問を繰り返す
- 迷子になる
はじめのうちは、ものの置き忘れ・片付け忘れなどで、探し物をしていることが増えます。
また、人やものの名前を思い出せないなど、「言葉」に関する記憶を失うことも多いです。
進行すると、親しい人を認識できない、複雑な作業ができない、トイレに行けなくなるといった症状が現れるようになります。一般的に進行はゆるやかです。
脳血管型認知症
日本では2番目に多いタイプの認知症で、認知症のうち20%ほどを占めます。
脳出血や脳梗塞などの「脳血管障害」をきっかけに、脳の一部の血流が悪化し、その部分の機能が低下することで発症する認知症です。
ほかの認知症と比べ、発症のタイミングがはっきりしており、典型的な初期症状のようなものはありません。
脳血管障害を繰り返すたびに、段階的に認知機能の低下も進行します。
認知機能の低下以外にも、障害された脳の部位によって以下のようなさまざまな症状があらわれる点が特徴的です。
・運動性失語
他人の言うことはわかるが、自分が話そうとすると話せない状態。
言いたい言葉が出てこない、正しい発音ができない(「すこし」と言おうとして「すのし」と口から出てくる)などさまざまな症状がある。
- 感覚性失語
自分で意味のある言葉を話すことはできているものの、人の話す言葉が理解できない状態。流暢に話す中で、意味のない言葉が混じることもある。
- 半側空間無視
視力としては問題ないが、視野の片側半分を認識できない状態。料理を片側半分だけ残したり、認識できない方にある物にぶつかったりする。
- 失行
麻痺など実際的な問題はないが、動作がうまくできなくなること。症状は人によってさまざまで、歩く、ボタンをつける、道具を使うなどが難しくなる。
できること・できないことに差がある、1日の中でも波があることから、「まだら認知症」と呼ばれることもあります。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、レビー小体という物質が脳の神経に溜まって生じる認知症です。
少しずつ脳の神経細胞が減っていき、側頭葉(言葉や記憶を処理する部位)や後頭葉(主に視覚からの情報処理をする部位)が萎縮します。
認知症ではありますが、初期はあまり認知機能の問題は目立ちません。
レビー小体型認知症の初期症状
- はっきりとした幻視がある
- 頭がはっきりしている時と、ぼーっとしている時の差がある
- すり足、小股で歩く
- 動作がゆっくりしている
- 表情が乏しい
- 転びやすい
- 気分の落ち込みが見られる
認知機能の問題としては、いつ・どこなど状況の把握が難しくなる、会話を理解できなくなるといった症状が現れやすいです。
レビー小体型認知症は、体の動きに障害が出る「パーキンソン病」と発症のメカニズムが似ています。
どちらの疾患も、脳内のレビー小体が発症に関わっているためです。
そのため、パーキンソン病の方の70〜80%では、後々レビー小体型認知症も加わるといわれています。
前頭側頭型認知症
4つの中で最も頻度の低いタイプの認知症です。
50〜60代と少し若い年齢層で発症する傾向があり、若年性認知症の中では頻度が高くなっています。
脳の前頭葉・側頭葉という箇所が部分的に萎縮していく病気で、その部分が司っていた機能が失われていきます。
こちらもレビー小体型認知症と同様に、初期はあまり認知機能の問題は目立ちません。
<側頭葉の萎縮による症状>
- 知っているはずの単語がわからない
- 知り合いの顔を見ても誰かわからない
<前頭葉の萎縮による症状>
- 礼儀やマナーがなくなる
- 万引きや盗み食い、信号無視など反社会的な(よくない)行動をする
- 同じ行動や言葉にこだわる
<どちらの萎縮でも生じる症状>
- 食べすぎる、濃い味付けや甘いものを好む
進行すると、徐々に認知機能や言語機能が低下し、言葉が出てこない、身だしなみを整えられない、自発性がなくなるなどの変化が出てきます。
認知症で「本性が出る」わけではない
ときに認知症になった際の性格の変化について「認知症になって本性が出たからだ」と思っている方が少なくありません。
急に頑固で怒りっぽくなったり、暴力や暴言が始まったりと、認知症によって、それまでの性格から大きく変化することがあります。
周りの方は、「今までは穏やかな性格でそんな人ではなかったのに、どうして」と驚いてしまうことでしょう。
ですが、その性格の変化は「その人が元々隠していた本性が表に出た」「隠していた本音を言っている」ということではありません。
認知症になって変わってしまった言動のほとんどは、脳の機能が失われたことが影響しています。
性格が変わったように見える原因を、脳の働きの変化から考えてみましょう。
認知症によって新しいことが記憶できなくなると、自分の置かれている状況が理解できず「私はなぜここにいるのかわからない」「知らない人が急に話しかけてきた」のように感じてしまいます。
前後関係もわからずに知らない世界に放り込まれれば、誰でも不安や恐怖を感じることでしょう。
ところが、脳の働きが低下しているので不安やストレスをスムーズに処理することができません。
平静を装ったり、状況から推測して判断したりすることが難しいとイメージしてください。
そのため、パニックになって怒ってしまったり、逆に口を閉ざしてうつ傾向が出てしまったりします。
「これが本性なんだ」というのは、本人にとっても周りの方にとっても悲しい勘違いです。
原因を理解できれば、介助者の方にとっても辛さがやわらぐかもしれません。
まとめ
認知症には大きく分けて4種類あり、種類を正しく診断することで、それに合った対処法を考えることができます。
単なるもの忘れとは異なり、「記憶自体がない」という点が認知症の特徴です。
この記事を読んで「もしかして、認知症かな」と思った場合には、お気軽にご相談ください。
ご本人と周りの方が少しでも安心・納得して過ごせるよう、当院でサポートします。
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4841
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