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認知症の症状
認知症の症状というと、どのようなことをイメージされるでしょうか?
やりたいことや食べたこと、物の場所を忘れてしまう物忘れ。
怒りっぽくなったり、できていたことができなくなったり…さまざまな症状が浮かぶかもしれません。
一般的に認知症の方は、認知機能が低下すると次のような症状が現れます。
記憶障害 | 同じことを繰り返し聞く食事をしたことを覚えていない持ち物をしまった場所や自宅の場所などを忘れる火を消し忘れたりする |
見当識障害 | 時間や場所がわからなくなる家族など大切な人がわからなくなる |
理解・判断力の低下 | 言葉が出てこないつじつまのあわない会話になる相手の話が理解できない |
実行機能障害 | リモコンや電話などの電化製品が使えない段取りができない同じものを買うなど、買い物がままならなくなる |
注意障害 | 集中力が低下する車や火など危険なことがわからない |
加えて患者さん本人の性格や素質、環境や心の状態によって、以下の様な行動・心理症状が現れます。
不安 | 行動や言動に確信が持てなかったり自信を失ったりして、不安が強くなる |
焦り | できないことや不安感、未充足感から焦ってしまう |
うつ状態 | 自信を失い落ち込んでうつ状態になる |
幻覚・妄想 | 見えないものが見えたり、聞こえないことが聞こえたりする |
徘徊 | 今いる場所や今すべきことがわからず、目的なく歩き回る |
興奮・暴力 | 感情や行動のコントロールができない |
不潔行為 | 便や尿などをオムツに排泄した不快感から、便をいじったりしてしまう入浴の必要性が理解できず、入浴を拒否する |
どのような症状が現れるかは、ひとりひとり異なり、その日の体調や相手、環境によっても変わります。
認知症の方には、体調や症状などお一人おひとりに合わせたサポートが求められるのです。
認知症における3つの介護負担
認知症の症状が目立つようになると、日常生活がままならなくなります。
そのため食事などの比較的簡単なことから、洗濯や買い物、などさまざまな場面で介護は必要になります。
多くの場合は、配偶者やパートナー・子どもなど本人の身近な人が日常生活の介護をおこないます。
しかし終わりのない認知症介護は、身近な人のサポートだけではとても負担が大きくなります。
その負担は大きく、次の3つにわけられます。
- 身体的負担
- 精神的負担
- 経済的負担
身体的負担
介護では食事の世話だけでなく、着替えや風呂の介助、外出のサポートなどさまざまな支援が必要です。
ある程度自分でできるうちは身体的な負担も少ないのですが、自分でできないことが増えると、身体の向きを変える、移動するなどさまざまなサポートが必要になり、介護をする人の身体への負担が増えます。
さらに負担が重なると、腰や膝、肩や腕などにケガや痛みを抱えてしまうケースも少なくありません。
また、介護は仕事のように時間が決まっているわけでも、休日があるわけでもありません。
毎日、24時間終わりなく続き、夜のトイレの介助や体勢を変えるなど、睡眠時間を十分に取れなくなる日も増えてくるでしょう。
結果、介護する方の身体的な負担が蓄積してしまうのです。
精神的負担
認知症の方の介護がはじまると、目を話せなかったり、気が休まるタイミングがなかったりと精神的な負担が増えます。
さらに、介護支援を受けるために介護事業者や医療関係者や身内とのとのやりとりなど、いままでよりも多くの人と頻繁なコミュニケーションが生じます。
加えてご自身のつらさや現状が理解してもらえないと、精神的な負担はどんどん蓄積してしまいいつでも解消されないのです。
経済的負担
介護支援を受けるためには、費用がかかります。
介護保険制度で費用負担は軽減されますが、収入や介護度・支援サービス内容によって、数万〜数十万円にのぼることもあります。
加えて介護のために、仕事を減らしたり辞めたりすると、収入は激減し経済的負担はさらに重くなってしまうのです。
認知症の介護の支援体制
以上のように認知症の介護にはさまざまな負担がかかります。そのため近年、多様な支援体制がととのってきました。
代表的な認知症の介護の支援体制は以下にわけられます。
- 認知症介護自体の負担を軽減する
- 認知症介護を環境面で支援する
- 認知症介護の経済的負担を支援する
認知症介護自体の負担を軽減する
認知症の介護は24時間365日続きます。少しでも介護負担を軽減するために、自治体を中心にサポート体制が整っています。
これらのサポート体制は、大きく以下の3つにわけられます。
- 自宅で受けるサービス
- 自宅から施設に通って受けるサービス
- 施設で暮らしながら受けるサービス
入所して受けるサービス…特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設、有料老人ホーム、認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)など
https://www.sompo-egaoclub.com/articles/topic/1027
自宅で受けるサービス
自宅で受けるサービスには、以下があります。
ここでは、代表的なサービスについて簡単に紹介します。
訪問介護 | 訪問介護員(ヘルパーなど)が自宅に訪問し、日常生活を支援する |
訪問看護 | 看護師が自宅に訪問し、体調の確認や医療ケア・服薬支援・入浴介助などをおこなう |
訪問リハビリテーション | 言語聴覚士、理学療法士、作業療法士などが自宅に訪問し、身体機能の維持・回復につながるリハビリをおこなう |
訪問入浴 | お一人もしくは身近な人の支援を受けても入浴が難しい場合に、自宅に簡易浴槽を運んで自宅で入浴を支援する |
薬剤師訪問サービス | 正式名称は「訪問薬剤管理指導・居宅療養管理指導」自宅や施設などに薬を届け、管理するだけでなく、服薬の指導もおこなう |
自宅から施設に通って受けるサービス
自宅から施設に通って受けるサービスには、以下があります。
ここでは、代表的なサービスについて簡単に紹介します。
レクリエーションや運動・リハビリなどもおこなう
施設で暮らしながら受けるサービス
施設で暮らしながら受けるサービスには、以下があります。
ここでは、代表的なサービスについて簡単に紹介します。
生活の場として、医療・介護・看護ケアをおこなう
認知症介護を環境面で支援する
認知症の介護をしやすくするためには、環境面でのサポートも欠かせません。
たとえば、足腰が弱ったり自分で身動きが取れなくなったりした場合のために、福祉用具のレンタルや購入補助支援制度があります。
これは必要な福祉用具をレンタル・購入する際に費用補助を受けられる制度で、介護保険制度を活用します。
認知症介護の経済的負担を支援する
認知症の介護でかかるさまざまな経済的負担。
これらを軽減するために、次のような支援制度があります。
- 介護保険
- 高額医療費制度
- 高額介護サービス費制度
- 自立支援医療制度
そのほかに地域支援事業の任意事業の1つとして「おむつなど介護用品の支給事業」という制度があります。
この制度では、紙おむつの購入費用の助成や現物支給を受けられます。
なお、支援内容は自治体によって異なるケースがありますので、お住まいの地域の福祉課などにご確認ください。
認知症の介護は医学的サポートも欠かせない
認知症の介護を、ご家族で抱える人も多いのですが、さまざまな負担が重なり共倒れになってしまうケースがあります。
また介護する側も、配偶者や子供など比較的年齢の高い方が担うため、その負担がより重くのしかかることもあります。
そのような社会的背景から、認知症の介護サポートは年々充実し、さまざまな負担が軽減できるよう配慮されています。
また、認知症の介護のサポートは負担の軽減だけに限りません。
認知症の進行を遅らせる効果が期待できる薬や、生活・睡眠のリズムを整える薬、イライラやそわそわ感を抑える薬など医学的介入も可能です。
さらに、介護支援を受けるためには、“認知症”の診断と診断書・医師意見書が必要です。
必要な際にはぜひお近くの病院へ相談してみてください。
まとめ
高齢化の進む日本では、認知症にかかる方の数は年々増えています。認知症の介護は、患者さんと家族にとって多大な心身の負担を伴います。
この記事では、認知症に対する介護や介護を支援するサービスについて掘り下げました。
認知症の介護では、患者さんの尊厳と自立を尊重しながら、安全で快適な日常生活を支援することが重要です。
また、介護者自身も定期的に休息を取り、支援サービスや専門家からの助言を求めることで、燃え尽きを防ぎます。
家族だけでなく、社会全体で支え合う体制を整えることが、持続可能な介護への鍵となります。
参考
・厚生労働省 政策について 認知症施策
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ninchi/index.html
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