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喘息とは?
喘息は空気の通り道である気道に慢性的な炎症が起きる病気です。喘息というと一般的には喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難を伴う気管支喘息を指します。
しかし、咳の症状のみが長引く咳喘息も喘息の一種であり、気管支喘息の前段階と考えられています。
喘息では慢性的な気道の炎症が原因で、少しの刺激でも激しい咳や呼吸困難を引き起こし、それは発作的に繰り返すのが特徴です。
原因となる刺激は、アレルギー反応を起こすアレルゲンであるダニやハウスダスト、花粉、ペットのフケ、カビなどです。
アレルゲン以外の原因では、激しい運動やタバコの煙、感染症、過労、ストレス、天候の変化などが挙げられます。
症状が出ている時は息を吐くスピードが遅くなり、肺活量も小さくなる場合があります。これは気道粘膜がむくみ、痰が増え、筋肉が縮むためです。
あなたの症状は?喘息の症状チェック
喘息による死亡者数は年々減少傾向にあります。しかし、喘息症状があるにも関わらず医療機関を受診できていないケースが多く見られるのが現状です。
下記の症状チェックリストは実際の診察で使用される問診チェックリストです。ご自身の症状を確認し、受診を検討する際の参考にしてください。
■症状チェックリスト
【大項目】+【小項目】(いずれか1つ以上)があれば喘息を疑う
【大項目] 喘息を疑う以下の症状がある
-
喘鳴(ぜんめい)
-
咳嗽
-
喀痰
-
胸苦しさ
-
息苦しさ
-
胸痛
【小項目]
- 症状
- ステロイドを含む吸入薬もしくは経口ステロイド薬で呼吸器症状が改善した
- 喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)を感じたことがある
- 3週間以上持続する咳嗽を経験したことがある
- 夜間を中心とした咳嗽を経験したことがある
- 息苦しい感じを伴う咳嗽を経験したことがある
- 症状は日内変動がある
- 症状は季節性に変化する
- 症状は香水や線香などの香りで誘発される
- 背景
- 喘息を指摘されたことがある(小児喘息も含む)
- 両親もしくはきょうだいに喘息がいる
- 好酸球副鼻腔炎がある
- アレルギー性鼻炎がある
- ペットを飼い始めて1年以内である
- 末梢好酸球が300/μL以上
- アレルギー検査(血液もしくは皮膚検査)にてダニ、真菌、動物に陽性を示す[1]
出典:喘息の診断的治療を認め治療フローを明確化:日経メディカル
喘息の種類
喘息には原因によって大きく5つの種類に分類されます。
特定の物質がアレルゲンとなり引き起こされる喘息をアトピー性喘息、アレルゲンが関わらない非アトピー喘息、アスピリンや同じ作用を持つ解熱鎮痛剤を使用したことによるアスピリン喘息、咳のみが続く咳喘息の主に4つの種類です。
-
アトピー型喘息
-
非アトピー型喘息
-
アスピリン喘息
-
咳喘息
-
運動誘発型喘息
それぞれについて詳しく解説します。
アトピー型喘息
アトピー型喘息は小児から思春期に多く見られるのが特徴です。アトピー型喘息はアレルギー反応により引き起こされ、原因となるアレルゲンは多岐に渡ります。
アレルゲンは主に以下の通りです。
-
ダニ
-
ハウスダスト
-
ペットのフケ
-
花粉
-
食物 など
体内に入ったアレルゲンはIgE抗体と結合し、ヒスタミンやロイコトリエンを放出させます。
このヒスタミンやロイコトリエンは気道に炎症を起こしたり、気管支を収縮させたり、痰の量を増やします。
IgE抗体は体内に異物が入ってきた時、異物を捕まえ排除する役割を持つタンパク質です。異物ごとに特定のIgE抗体が存在し、これを抗原特異的IgE抗体と呼びます。
つまりアレルゲンがダニであれば、ダニにのみ結合するIgE抗体が存在するのです。通常、IgE抗体は微量しか検出されませんが、アレルギー体質の人は多いのが特徴です。
また、血液中のIgE抗体の種類を調べることで、何に対してアレルギー反応を起こすのか推測することができます。
症状は夜間から早朝にかけて起こる、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)や激しい咳、息苦しさ、喀痰です。特に秋や春に症状が悪化しやすい傾向があります。
非アトピー型喘息
非アトピー型喘息は成人に多く見られ、アレルゲン以外の原因で起こる喘息です。症状を引き起こす要因は以下が挙げられます。
-
激しい運動
-
天候の変化
-
タバコの煙
-
アルコール
-
過労
-
ストレス
-
感染症 など
アトピー型喘息とは異なりアレルゲンに対する抗原特異的IgE抗体を持たないため、血液検査をしてもIgE抗体の増加は認められません。
そのため自分がどの様な時に喘息を発症するか知っておくことが大切です。
症状はアトピー型喘息と同じで、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)や激しい咳、息苦しさです。季節による変化はあまり見られず、1年を通して発作が見られます。
アスピリン喘息
アスピリン喘息はアスピリンなど非ステロイド性解熱鎮痛薬を使用した後、急激に喘息発作を起こしたり、鼻水や鼻づまりの症状が起こる喘息です。
アスピリン喘息は解熱鎮痛剤(過敏)喘息やNSAIDs喘息と呼ばれることもあります。通常、原因となる薬剤を使用してから1時間以内に発症し、症状は数時間持続します。
ただし、使用した薬剤が湿布や塗り薬の場合は発症までに時間がかかり、アスピリン喘息を特定しづらい場合があるので、自分が使った薬は医師にしっかり伝えるようにしましょう。
非ステロイド性解熱鎮痛剤の中でもアスピリン喘息の原因となるのはCOX-1阻害薬です。
COX-1阻害剤は炎症や痛みの原因になるプロスタグランジンの合成に関わる酵素、COX(シクロオキシゲナーゼ)の働きを阻害し、熱を下げたり痛みを鎮めます。
選択的COX-2阻害薬は安全に使用できることが分かっています。
以下がアスピリン喘息の原因となる主な薬剤の成分名と代表的な商品名です。[7]
▼アスピリン喘息の原因となる代表的な薬剤|処方薬
成分名 |
主な商品名 |
アスピリン |
バファリン |
ロキソプロフェンナトリウム |
ロキソニン |
ジクロフェナクナトリウム |
ボルタレン |
イブプロフェン |
ブルフェン |
メフェナム酸 |
ポンタール |
スルピリン |
スルピリン |
インドメタシン |
インテバン、カトレップ |
イソプロピルアンチピリンを含む配合剤 |
SG配合顆粒 |
その他 |
▼アスピリン喘息の原因となる代表的な薬剤|市販薬
成分名 |
主な商品名 |
アスピリン |
バファリンA |
ロキソプロフェンナトリウム |
ロキソニンS |
イブプロフェン |
イブ、リングルアイビー |
エテンザミド |
ノーシン、ナロンエース、新セデス |
その他 |
咳喘息
咳喘息は長引く咳が唯一の症状で、気管支喘息のような喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)や呼吸困難、呼吸機能の低下は見られません。
咳症状は、通常夜間から早朝にかけて悪化しますが、咳は日中にひどくなるケースも見られます。
気管支拡張薬を吸入すると効果があることが特徴で、このことは診断の基準の一つにもなっています。
以下が診断基準です。
▼下記の1~2をすべて満たす
-
喘鳴を伴わない咳嗽が8週間以上持続
-
気管支拡張薬が有効
▼参考初見
-
末梢血・喀痰好酸球増多、FeNO濃度高値を認めることがある
-
気道過敏性が亢進している
-
咳症状にはしばしば季節性や日差があり、夜間~早朝優位のことが多い[2]
出典:咳喘息
運動誘発型喘息
運動誘発型喘息は運動をすると咳込みがひどくなる、呼吸が苦しくなるなどの症状が現れる喘息です。
特に冷たく乾燥する空気を吸い込むと刺激になることが多く、冬場に発症しやすい傾向にあります。
運動中に喘息症状が起きた時はすぐに運動を中止しましょう。その後水分を取り、なるべく安静にします。
発作治療薬を使っても改善が見られない時はすぐに医療機関を受診してください。
子供の喘息と大人の喘息の違いは?
子供と大人の喘息は基本的には同じです。いずれも慢性的な気道炎症が原因となりさまざまな症状を引き起こします。
大きな違いは子供の喘息のほとんどはアレルギー反応によって引き起こされるのに対して、大人の喘息は約半数はアレルギー反応、のこりの半数はストレスや天候の変化など環境要因によるものである点です。
以下、小児喘息と成人喘息について詳しく解説します。
小児喘息
小児喘息は3歳までに60%が、6歳までには90%が発症します。
90%がアレルゲンによって引き起こされるアトピー型喘息で、適切な治療を行えば、薬を使わず発作も起こらない、寛解の状態になることが可能です。
思春期になると症状が軽くなりますが、その後約30%は成人喘息に移行します。しかし、小児喘息が寛解した50%~70%のうち30%は成人になってから再発します。[3]
成人喘息
成人喘息は、成人になって初めて発症する人が70~80%を占め、そのうち60%以上が40~60代です。
小児喘息とは異なり、アレルゲン以外が原因で引き起こされる非アトピー型喘息が多くなります。
小児に比べて慢性化、重症化しやすいのが特徴で、内服のステロイド薬を必要とする難治性喘息が5~10%程度見られます。
そのため、症状が無くなった後も治療を続けることが必要で、定期的な受診が欠かせません。[4]
「喘息持ちは寿命が短い」と言われるのは高齢になるほど肺炎などを起こしやすいためです。
喘息治療は医師の指示の元、治療ステップに沿って進める必要があり、自己判断による治療の中断は喘息死に至る大きな原因の一つと言えます。
喘息の治療
喘息治療の基本は薬物治療です。喘息治療薬は吸入薬や内服薬、貼付剤、注射剤がありますが、気管支に直接薬が届き、副作用が少ない吸入ステロイド薬が治療の基本です。
ここでは喘息治療について詳しく解説します。
喘息治療薬
喘息治療で使う吸入薬は大きく2種類に分けられます。1つ目は発作が起きていない時に、発作が起こらないように使う長期管理薬(コントローラー)で、喘息治療の基本薬です。
2つ目は発作が起こった時に使う発作治療薬(リリーバー)です。長期管理薬は毎日継続する薬で、発作が起こらない状態が一定期間続けば、使用を中止することもあります。
しかし、発作が起こらない、体調が良いなどで決められた用法を守れなかったり自分の判断で中止したりすると、急激に症状が悪化することがあるため、注意が必要です。
-
長期管理薬(コントローラ)は発作が起こらないように毎日使う
-
発作治療薬(リリーバー)は発作が起きた時に一時的に使う
それぞれの治療薬の種類について解説します。
長期管理薬(コントローラー)|発作を予防するための治療薬
-
吸入ステロイド薬(ICS)
気道の炎症と狭窄により起こる喘息治療の基本は、炎症を強力に抑える吸入ステロイド薬です。吸入薬は薬が気管支に直接届くため、最小の量で効果を発揮します。
そのため、内服のステロイド薬に見られる全身的な副作用も少ないのが特徴です。吸入ステロイド薬は効果を発揮するまでに1週間程度かかるため、毎日継続する必要があります。
ただし、吸入後に口の中に残った薬剤は効果を発揮せず、そのままにすると口腔内カンジダ症や嗄声の原因になるため、使用後はうがいをして残った薬剤を洗い流すようにします。
うがいができない時は水を飲むだけでも効果があるので忘れないようにしましょう。
-
長時間作用型β2刺激薬(吸入LABA)
長時間にわたり気管支を拡張させ、咳や息苦しさを改善する薬です。短時間作用型の吸入薬は発作時に使用されますが、長時間作用型は長期管理薬の一つです。
抗コリン薬やステロイド薬との配合吸入薬もあります。
-
吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤
強力な抗炎症作用をもつ吸入ステロイド薬と気管支を広げる長時間作用性β2刺激薬を一つにまとめた配合剤です。
-
長時間作用型抗コリン薬(吸入LAMA)
気管支を収縮させる物質の働きを阻害して気管支を広げ、咳や息苦しさを改善する薬です。
抗コリン作用により眼圧があがることがあるため、一部の緑内障を持つ人は使用できません。
-
テオフィリン徐放薬
狭くなった気管支を広げるほか、気管支の炎症を抑え、咳などによる息苦しさを改善します。
また中枢神経刺激作用を持つため、副作用の発言に注意が必要で、服用管理が必要な薬です。
主な副作用は頭痛や吐き気、動悸などで、医師の指示を守って服薬することが重要です。
-
ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)
アレルギー反応により気管支を収縮させるロイコトリエンの働きを阻害し気管支を拡張させ、喘息の発作を起こりにくくします。
ロイコトリエンは鼻の粘膜でのアレルギー反応にも関わるため、アレルギー性鼻炎に使用されることもあります。
剤型は細粒と錠剤がありますが、OD錠(口腔内崩壊錠)やチュアブル錠もあり、年齢や用途に合わせて選べるのが特徴です。
-
抗アレルギー薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬以外)
喘息の原因となるアレルギー物質の放出を抑え、喘息発作を予防します。抗アレルギー薬には種類があり、症状に合わせて選択します。
喘息に使用される抗アレルギー剤はロイコトリエン受容体拮抗薬、メディエーター遊離抑制剤、H1受容体拮抗薬(第2世代)、トロンボキサンA2阻害薬、TH2サイトカイン阻害薬です。
-
抗IgE抗体
抗IgE抗体は吸入ステロイド薬や他の薬剤を使用してもコントロールできない重要の喘息に使われる注射剤です。
通常2週間~8週間ごとに病院で注射を行います。
抗IgE抗体はアレルギー反応に関わるIgE抗体とマスト細胞が結合するのを阻害して、マスト細胞からアレルギー反応の原因となるヒスタミンなどの物質を放出させないようにします。
ダニやハウスダストなどの特異的IgE抗体を持っている人が治療対象です。抗IgE抗体の働きにより、喘息による咳や息苦しさを軽減して発作を予防します。
発作治療薬(リリーバー)
-
短時間作用型β2刺激薬(SABA)
すばやく気管支を広げ、喘息発作による咳や呼吸困難を改善します。
使い過ぎは症状を悪化させ窒息を起こすことがあるため、決められた回数使用しても効果が見られない場合は、救急車を呼ぶなど早急に医療機関を受診する必要があります。
様子を見るなどしていると窒息死の可能性もあるため、日頃から対処法を家族や周囲の人にも説明しておくと良いでしょう。
-
テオフィリン薬
気管支の筋肉の緊張を取り気管支を広げ、炎症を鎮めることで発作時の咳や呼吸困難を改善します。
効果が出るまでに時間がかかる徐放錠は長期管理薬(コントーラー)として使用されますが、発作治療薬として使うテオフィリン薬は普通錠や原末です。
喘息治療ステップ
喘息治療には4つのステップがあります。どのステップから開始するかは症状を見て決めます。発作予防治療の基本は全て吸入ステロイド薬です。
▼喘息治療ステップ[5]
|
|
治療ステップ1 |
治療ステップ2 |
治療ステップ3 |
治療ステップ4 |
長期管理薬 |
基本治療 |
ICS(低用量) |
ICS(低~中用量) |
ICS(中~高用量) |
ICS(高用量) |
上記が使用できない場合は以下のいずれかを用いる LTRA テオフィリン徐放製剤 ※症状が稀な場合は必要なし |
上記で不十分な場合下記1剤を併用 LABA (配合剤使用可) LAMA (配合剤使用可) LTRA テオフィリン徐放製剤 |
上記に下記1剤または複数併用 LABA LAMA LTRA テオフィリン徐放製剤 抗IL-4Rα抗体 |
上記に下記の複数を併用 LABA LAMA LTRA テオフィリン徐放製剤 抗IgE抗体 抗IL-5抗体 抗IL-5Rα抗体 抗IL-4Rα抗体 経口ステロイド薬 気管支熱形成術 | ||
|
追加治療 |
アレルゲン免疫療法(LTRA以外の抗アレルギー薬) | |||
発作治療 |
SABA |
SABA |
SABA |
SABA |
ICS:吸入ステロイド薬
LTRA:ロイコトリエン受容体拮抗薬
LABA:長時間作用型β2刺激薬
LAMA:長時間作用型抗コリン薬
SABA:短時間作用型β2刺激薬
Q&A
喘息に関してよくある質問にお答えします。
Q.喘息かどうか確かめる方法はありますか?
こちらの症状チェックリストで確認できます。
ただし、喘息の確定診断には医療機関で問診と呼吸機能検査が必要なので、気になる症状があれば早めに受診するようにしましょう。
Q.喘息の大人の症状はどんな症状ですか?
気管支喘息では呼吸をする時にゼーゼー、ヒューヒューと音がなる喘鳴(ぜんめい)をはじめ、痰の絡み、息切れ、呼吸困難で、これらの症状は小児喘息と同様です。
これ以外で成人の喘息の半数以上は、8週間以上続く咳のみが症状の咳喘息もあります。喘息診断チェック方法はこちらを参考にしてみてください。
Q.喘息でやってはいけないことは何ですか?
やってはいけないことは、喘息発作を誘発する原因物質を吸うことです。
アトピー型喘息ではアレルギー反応を引き起こすアレルゲンのダニやほこり、ペットのフケ、花粉、食物などです。
非アトピー型喘息では、激しい運動、アルコール、タバコの煙、過労、ストレス、感染症などで発作が引き起こされるため、避ける必要があります。
Q.喘息みたいな症状がでる病気はありますか?
喘息と似た症状、激しい咳や痰の絡み、呼吸困難が現れる主な疾患は以下の3つです。これらの疾患は治療法が異なるため、喘息と鑑別が必要になります。
-
COPD
-
心臓疾患
-
COPD以外の肺疾患
-
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
中高年に発症する生活習慣病の一つで、タバコの煙などの有害物質を長期間吸い続けたことによる肺の炎症性疾患です。以前は慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれていました。
症状は歩行時や階段の昇降など体を動かしたときに動悸や息切れをしたり、慢性的な咳や痰です。
COPDは喘息と合併することもあります。合併すると予後が悪いことが分かっています。
COPDでは禁煙が治療の基本となり、感染症で症状の悪化が認められます。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種を欠かさないようにしましょう。
-
心臓疾患
虚血性心疾患や心筋症が原因で喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)や咳、痰を伴う発作性の呼吸困難が見られることがあります。
気管支喘息の発作と似ていることから心臓喘息と呼ばれます。
-
COPD以外の肺疾患
COPD以外の肺疾患で喘息発作と似た症状が見られるのが、肺がんや肺炎です。また、これらは合併することもあり、区別が難しい疾患でもあります。
長引く咳や血の混じる痰が出るなど、いつもと変わった症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。
Q.咳喘息の重症度をチェックする方法はありますか?
気管支喘息や咳喘息の重症度は以下の表でチェックできます。喘息の重症度は大きく4つに分類されます。
重症度により治療法が異なるので、医師の判断に沿って治療を進めるようにしましょう。
▼喘息の重症度[6]
重症度 |
|
軽症間欠型 |
軽症持続型 |
中等度持続型 |
重症持続型 |
喘息症状の 特徴 |
頻度 |
週1回未満 |
週1回以上だが毎日ではない |
毎日 |
毎日 |
強度 |
症状は軽度で短い |
月1回以上 日常生活や睡眠が妨げられる |
週1回以上 日常生活や睡眠が妨げられる |
日常生活に 制限 | |
|
|
しばしば増悪 |
しばしば増悪 | ||
夜間症状 |
月に2回未満 |
月に2回以上 |
週1回以上 |
しばしば | |
PEF FEV1 |
%FEV1 %PEF |
80%以上 |
80%以上 |
60%以上 80%未満 |
60%未満 |
変動 |
20%未満 |
20~30% |
30%を超える |
30%を超える |
PEF(ピークフロー値):最大努力呼出(力一杯息を吐いた)時の最大呼気流速(吐いた息のスピードの最高値)で気管支の狭さを反映している数値
FEV1:息を思い切り吸い込んでできるだけ早く吐いた息の量のうち、最初の1秒間で吐いた息の量
出典:重症度分類
Q.咳喘息を自力で治す方法はありますか?
咳喘息の治し方で自力で治す方法は、原因となっている物質や環境を取り除くことです。咳喘息の原因はダニやほこり、カビ、天候の変化、ストレスなど多岐に渡ります。
また、咳喘息は気管支喘息の前段階とも言われるため、早い段階で適切な治療を受けることが大切です。
医療機関において咳喘息症状の治し方は、気管支拡張薬や吸入ステロイド薬を中心に使用することです。咳症状が続く時は医療機関を受診するようにしましょう。
まとめ
喘息は気道に慢性的な炎症が起こり、ダニやハウスダスト、ストレス、感染症などが刺激となり発作性の激しい咳や呼吸困難を来す病気です。
喘息による死亡者数は減少傾向にありますが、適切な治療が受けられなかったり、治療の中断などで窒息死することもあります。
喘息治療は吸入ステロイド薬の使用が基本です。長期管理薬で発作を予防し、発作が起こったときは発作治療薬で対処します。
発作予防の治療が重要であり、自覚症状のない時でも医師の指示通りに内服薬や吸入薬、場合によっては注射薬の使用を継続します。
発作が起こらないからと言って治療を中断することのないように注意が必要です。
喘息とよく似た疾患にCOPDや心臓喘息などがありますが、これらは喘息とは治療法が異なるため区別が必要です。
咳が続く、息苦しさを感じるなどの症状が現れた時は自己判断せず、呼吸器科などのある医療機関を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。
ファストドクターでは無料の医療相談を行なっています。
アプリから往診の待ち時間を見れるだけではなく、チャットや電話での無料の医療相談が可能です。
もし、ご家族やご自身の体調でご不安な点がありましたら、ファストドクターを頼ってください。
参考文献
[1]喘息の診断的治療を認め治療フローを明確化:日経メディカル
[2]咳喘息
[3]小児喘息
[4]成人喘息
[6]重症度分類
[7]さまざまなぜん息 アスピリンぜん息(解熱鎮痛薬ぜん息)|成人ぜん息(ぜんそく、喘息)|ぜん息基礎知識|ぜん息などの情報館