頑張れないのは甘え?それとも病気?|仕事や勉強が頑張れない病気
適応障害は、ストレスのある環境に適応できなくなり発症する病気です。ストレスの原因が職場や学校にある場合は、仕事や勉強を頑張ることができなくなります。
甘えている、サボっていると周囲から誤解されることも多く、本人も自分だけが頑張れないのはおかしいと思ってしまうこともあります。
適応障害は症状が進むと判断能力が落ち、自己決定ができなくなるのが特徴です。
甘えやサボりと捉えると回復の機会を失うことになるため、病気として治療に取り組むことが大切です。
適応障害になりやすいのはどんな人?
同じストレスを受けても適応障害になる人とならない人がいます。適応障害になりやすい人には次のような特徴が挙げられます。
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責任感が強い
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完璧主義
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几帳面な性格
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心配症
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環境の変化が苦手
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気持ちの切り替えができない
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自分より他人を優先する
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周りからの評価を気にする
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仕事などを一人で抱え込んでしまう
しかしこれらに当てはまらなくても、ストレスの種類や強さにより、誰でもかかる可能性があるのが適応障害です。
日頃から自分のストレスに気付き、対処することは非常に大切なことと言えるでしょう。
そもそも適応障害とは?
適応障害とは、日常生活においてストレスが原因で心身の不調をきたし、社会生活に支障が出た状態を言います。
ストレスの原因は特定されているのが特徴です。
ストレスとは外部からの刺激に対し、体に起こる反応のことを意味します。この反応は日常的に誰にでも起きていることです。
正常なストレス反応でも、焦りや不安、憂鬱な気分になります。
健康な人であれば休息や気分転換をするとストレス解消ができ、日常生活を送ることが可能です。
しかし、適応障害では異常なストレス反応が起こり、強い落ち込みや不安感、自律神経の乱れなどが起こります。
さらに原因となるストレスに囚われ、そのことが四六時中頭から離れなくなってしまうのです。
その結果、1~3ヶ月以内に健康的な日常生活を送ることができなくなります。
ストレスの原因を取り除くことができれば、6ヶ月以内に症状は消えるとされています。
適応障害の診断基準
適応障害の診断基準に用いられるのは、WHO(世界保険機関)によるICDやアメリカ精神医学会によるDSMです。
DSM-5では、適応障害はストレス因子にさらされて3ヶ月以内に発症し他の精神障害の診断基準を満たさないもの、とされています。
また、ストレスの原因が取り除かれた後は6ヶ月以内に症状は消え、それ以上続く場合は別の診断が必要であると定めています。
適応障害は比較的軽症な精神疾患であり、他の診断ができない曖昧な場合に適応されていたのです。
しかし、現実には6か月を超えても症状が悪化するなど、DSM-5の診断基準では当てはまらないケースが多くありました。
その後作成されたのが、最新の診断基準であるWHOのICD-11です。
ICD-11では適応障害を「ストレス因子のとらわれ」と「ストレスコーピングの失敗」と定義しています。
【適応障害の定義】
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「ストレス因子のとらわれ」職場環境の変化などによる人間関係や大切な人との死別、がんなどの大病にかかったなど、ストレスとなった物事に対して過度な心配をし、四六時中そのことを考え続けている。
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「ストレスコーピングの失敗」ストレスにうまく対処することができず、ストレス解消ができない。
ストレスコーピングの失敗で環境に適応できず、日常生活に支障をきたしている。
また、ICD-11でもDSM-5同様、ストレスの原因が取り除かれれば6ヶ月以内に症状はなくなるとしています。
さらにICD-11では、本人が別の疾患を抱えている場合は症状が長引くことも明記されました。
ICD-11は、より現実に即した診断基準になったと言えるでしょう。
適応障害と間違われやすい病気|うつ病との違い
適応障害と症状が似ている病気の一つにうつ病があります。
適応障害が「軽いうつ病」と表現されるのはそのためです。
しかし、発症した原因に大きな違いがあります。
うつ病では原因が特定できない場合があるのに対して、適応障害は必ずストレスの原因が分かっているのが特徴です。
また、うつ病は脳内の神経伝達物質の働きが弱まっている「脳の不調」であるのに対して、適応障害は「心の不調」と考えられています。
薬に対する反応が良いのはうつ病で、あまり効かないのは適応障害です。
【適応障害とうつ病の違い】
うつ病 |
適応障害 | |
分類 |
脳の不調 |
心の不調 |
原因 |
原因は分からない場合がある |
原因となるストレスが特定できている |
症状の経過 |
発症のきっかけはストレスが多いが、ストレスから離れても回復に時間がかかる、もしくは回復しない |
ストレスを受けてから3ヶ月以内に発症し、ストレスの原因から離れれば6か月以内に回復する |
薬の効果 |
あり |
あまりない |
適応障害の原因となるストレスの種類
適応障害の原因となるストレスにはさまざまなものがあります。
ここでは主に3つの原因について解説します。
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人間関係
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人生の転機・環境変化
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重大な病気
人間関係
原因として最も多く見られるのが人間関係によるストレスです。
職場ではパワハラなど上司との関係に悩み、休日にそのことばかり考えて気分転換ができないという状況に陥ります。
また、適応障害は連絡をもらっても返せない病気です。相手も良かれと思って連絡をしても、返事が来ないとあまり良い気はしないでしょう。
こういったことが一度や二度ではなく、何度も重なってしまうことにより人間関係を悪化させてしまうこともあります。
人生の転機・環境変化
進学や就職、結婚、引越し、離婚、大切な人との死別、会社での部署移動などが原因に挙げられます。
ゴールデンウィーク明けになると発症する5月病も環境の変化が原因で起こる適応障害の一つです。
また、学生などの場合は夏休みなどの長期休暇明けに「学校に行きたくない」と感じてしまう人もいます。
こちらのケースも環境の変化が原因で起こるものであると言えるでしょう。
重大な病気など
誰にでも起こる可能性がある病気も適応障害の原因となります。
特にがんなど重大な病気はストレス因子から離れることが難しく、心身のバランスが崩れやすい原因になると言えるでしょう。
この場合、本人だけでなく家族も適応障害にかかるリスクがあります。
適応障害の症状
適応障害の症状は多岐にわたりますが、「精神症状」「身体症状」「問題行動」の3つに分類することができます。
精神症状
代表的なものが不安感や憂うつ感です。
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不安感
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強い不安に襲われ、場合によっては過呼吸になる
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五感が過敏になり、些細なことでイライラする
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まだ起こっていないことを心配する
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感情をコントロールできず涙が出る
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憂鬱感
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何事も楽しめなくなり、時には死にたいと思う
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注意力や判断力が低下し、意思決定が難しくなる
身体症状
自律神経の乱れによりさまざまな症状が現れます。
代表的なものは以下です。
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自律神経症状
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動悸
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熟睡できない
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喉に異物感がある
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胸を圧迫される感じがある
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食欲がなくなり、食事をしてもおいしいと感じない
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頭痛や肩こり、耳鳴り、吐き気などの症状があり、常に疲れている
問題行動
判断能力の低下から善悪の判断がつかなくなり、社会的ルールを破る行動が見られるようになります。
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反社会的行動
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過度の飲酒
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ひきこもり
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無断欠席や無断欠勤
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危険運転や暴力、万引きなどの素行障害(※)
※…社会的ルールを守らず、反社会的な行動を繰り返してしまう疾患
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意欲減退
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会社に行こうとすると体が動かない
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やる気が起きない、寝てばかりいる
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声が出なくなる
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メールなどの返信ができない
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話しかけられても受け答えができない
ただし、うつ病など他の疾患の症状が強い場合は、その病名が診断名となります。
適応障害の治療
適応障害はストレスから離れることで完治できる病気です。治療としてまず重要なのが、ストレスの排除です。
その後、ストレスを減らした環境に慣れるためにストレスコーピングなどの認知行動療法を行います。抑うつ状態や不安感が強い場合は、補助的に薬を使うこともあります。
適応障害の治療法について詳しく見ていきましょう。
環境調整でストレスを排除
環境調整をしておくと、その後の治療を効率的に行うことができます。
例えば、職場でのストレスが原因の場合は部署移動などで環境を変え、ストレス因子を取り除きます。
しかし、ストレス因子は一つとは限りません。部署移動で解決できないときは、休職を勧める場合もあります。
また、自殺をほのめかす言動が目立つ時は入院の措置が取られることもあります。
認知行動療法|コーピング
ストレス因子は完全に排除できるとは限りません。
ストレス因子が複数であった時などは難しいと言えます。
この場合、ストレス因子を減らした環境に対して自分がどの様に反応するかを知り、反応のパターンを変えていく必要があります。
これが認知行動療法やストレスコーピングという対処法です。
薬物療法
適応障害の治療の中心は認知行動療法などの精神療法ですが、抑うつ状態や強い不安感、素行障害が見られるときは補助的に薬物療法を行います。
適応障害に使われる主な薬は以下です。
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強い不安
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抗不安薬
不安や緊張を和らげる薬です。
一般的に脳の興奮を抑えるベンゾジアゼピン系抗不安薬を使います。 -
抗うつ薬
気分の安定に関わる脳内の、神経伝達物質であるセロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミンを増やしたり、バランスを整えたりする薬です。-
セロトニン…感情のコントロールに関わる
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ノルアドレナリン…無気力や意欲減退を防ぐ
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ドーパミン…無関心や身体機能の低下を防ぐ
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抑うつ状態
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抗うつ薬
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素行障害
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気分安定薬
気分の変動を小さくする薬です。
炭酸リチウムやバルプロ酸ナトリウムなどがあります。 -
抗精神病薬
脳内のドーパミンやセロトニンの働きを調節する薬です。
幻想や妄想、無感情、意欲の低下などの改善をします。
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セルフケア
適応障害でセルフケアを行うことは重要です。
セルフケアの3つの要素について解説します。
個人の安全を確保する
「個人の安全」とは自身が置かれている環境の安全を意味します。具体的にはストレスから距離を置くことです。
しかし原因が家庭内での虐待の場合などは、安全の確保が難しいケースもあります。
その場合は専門家を頼ることも検討しましょう。
身体的健康の管理
バランスの取れた食事や睡眠、運動は心身に良い影響を与えます。
偏った食事による栄養失調や睡眠不足、それに体力減少など体の不調は心身のバランスも崩しかねません。
運動などで体を動かすことにより質の良い睡眠を得ることができます。また、食事から摂る栄養は、気分の安定に役立つことが分かっています。
日頃から食事、睡眠、運動の3つに気を配るようにすると良いでしょう。
すぐに実践できるストレスコーピング
心身にかかる負担をストレッサーと言い、ストレスコーピングとは「ストレッサーへの対処」のことを指します。
ここでは問題焦点コーピングと情動焦点コーピングについて解説します。
問題焦点コーピング
ストレッサーに直接働きかけて、問題解決を試みる方法です。
問題焦点コーピングは、対処することでストレッサーが無くなる、もしくは軽減する場合に効果のある方法です。
具体的な方法は以下が挙げられます。
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環境を変えることでストレスの原因から離れる
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ストレスの原因について身近な人に相談して解決する
情動焦点コーピング
ストレッサーに対する思考パターンを変えていく方法です。
ストレスの原因から離れられない場合に効果的です。
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仕事でミスをした→ミスをする方法が分かったのだから次からは別の方法をやれば良い
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仕事が忙しい→今は経験を積む時期で自分は日々成長している
情動焦点コーピングのスキルを身につけると自分自身をコントロールできるようになり、ストレスと上手く付き合って行けるようになります。
いずれのコーピングも、現状を把握し主体的に行動できることが重要であると言えるでしょう。
治療期間の目安
適応障害の治療期間は比較的短いのが特徴で、早ければ6ヶ月以内には治療は終了しているでしょう。
軽症の場合は、ストレス因子から完全に離れることができれば早期に改善します。軽傷では数回の受診後にはセルフケアが可能となり、通院の必要もなくなります。
一方、症状が長引く場合では半年以上の通院が必要です。他の病気を併発するケースも少なくありません。
自己判断で治療の中断することは、さらに症状を長引かせる原因になるので、治療期間については主治医としっかり相談するようにしましょう。
また、症状が無くなったあとも2ヶ月に1回程度は再発を防ぐために通院が必要かそうでないかは、医師の指示を仰ぐが良いでしょう。
原因が職場にある場合の対応|休職制度や傷病手当金の利用も
職場の人間関係が原因の場合は、仕事を失う心配や経済的不安から無理をしがちです。人事部や産業医、主治医と連携をとり、環境調節を行うようにしましょう。
また、環境調整だけでは症状が改善に向かわない場合は、主治医と相談して職場の休職制度の利用も検討すると良いでしょう。
療養で休職する場合は、給与のおよそ3分の2が支給される傷病手当金が支給対象となります。
支給条件などをまとめましたので参考にしてください。
【傷病手当金の給付条件等】
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支給される条件
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健康保険の被保険者(本人)であること
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療養が理由であること
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連続する3日間を含む4日以上仕事につけなかったとき
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休んだ期間に給与の支払いがないこと
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支給される金額
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支給開始日以前の12ヶ月間の給与を元に計算。
だいたい給与の3分の2程度。
【申請書を提出する手順】
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傷病手当金支給申請書は協会けんぽに郵送してもらう、インターネットでダウンロードし印刷する
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会社の担当部署に書類の記入をお願いする
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会社に記入してもらった書類を受け取ったら、書類を主治医に提出し証明箇所を記入してもらう
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振込先口座などを記入して、協会けんぽに提出する
治療が進まない人の特徴
否認が強く、自分が適応障害であることを認めない人は治療が進まない傾向にあります。
そのような人は多くの場合、適応障害の症状とは別に抑うつ状態にあり、強い不安感や不信感を持っています。
これが強い否認の原因になっているのです。
まずは休養をとり、抗うつ薬などで否認の症状を治していきます。
また、多くの経験を積み、乗り越えてきた自負のある中高年ほど現実を認められず、治療が遅れがちになります。
まずは自分が適応障害であることを自覚して、主体的に治療に取り組むことはとても重要であると言えるでしょう。
再発の可能性と防止策
適応障害はストレスが原因で発症するため、改善した後も同じ環境に戻ると再発してしまうリスクがあります。
では、再発を防ぐにはどのような対策を取れば良いのでしょうか。「同じ環境に留まる・戻る場合」について防止策を解説します。
物事の受け止め方を見直す
同じストレス下でも強い苦痛を感じて適応障害を発症する人もいれば、発症しない人もいます。
その違いは物事の受け止め方です。
適応障害を発症しない人は、問題解決策を多く持っているのが特徴です。
自分がなぜ苦痛と感じやすいのか、物事の受け止め方を見直してみましょう。
すると苦痛の原因が分かり、解決策を考えることができます。
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ストレス因子に対する問題解決策の例
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寝る前に自分を褒める
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ストレス因子について人と話す
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睡眠時間をたっぷりと確保する
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好きなことをしてストレス発散をする
問題解決能力を高める
適応障害を治療する一番の方法は原因となった環境から離れることです。
しかし、適応障害を発症したときの環境に留まりたい、もしくは戻りたいと考える人も中にはいるでしょう。
そんなときは問題解決能力を高める必要があります。
ここで役立つのがコーピングスキルを養うことです。
ストレスコーピングには「問題焦点型コーピング」と「情動焦点型コーピング」がありますが、元の環境に留まったり戻ったりするときに役立つのは「情動焦点型コーピング」です。
コーピングスキルを養う方法はこちらで解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
もし家族が適応障害になったら?
適応障害は重症度で4つに分類できます。重症度が高いほど、家族の支援が必要です。
特に適応障害に他の精神疾患を併発している場合は、家族も治療に加わり協力していくことが重要になります。
重症度と家族の関わりについて表にまとめました。具体的な対応方法についても解説します。
【適応障害の重症度と家族の関わり】
重症 <重症度> 軽症 | ||||
自殺の危険がある |
薬を飲んでも徐々に悪化 |
薬を使えば症状は改善傾向 |
1~2回の治療で改善が見られる | |
特徴 |
自殺をほのめかしたり、計画をしたりする様子がある。 アルコールや睡眠導入剤を摂取している。 |
ストレスから離れられない。 ストレス因子の囚われとコーピングの失敗を受け入れられない。 精神療法に前向きに取り組めない。 |
ストレスから離れることができる。 ストレス因子の囚われとコーピングの失敗を自覚できている。 主体的に精神療法を受けている。 |
ストレス因子の囚われとコーピングの失敗を自覚できている。 コーピングの方法を考え、実行している。 |
家族の関わり |
医師と家族が連携して一時的な入院などの措置が必要。 |
本人の承諾のうえで家族が診察に同席し治療内容を把握する。 |
本人が通院治療で対応する。 |
本人が通院治療で対応する。 |
家族が適応障害について学ぶ
家族が適応障害について理解することは最も大切なことです。
理解できていないと、家族が回復を焦るばかりに本人を責めてしまったり、逆に突き放してしまったりして、症状の悪化に繋がる可能性があります。
本人の了承を得て診察に同席するのも良いでしょう。
診察に同席した際には、家族としてどう接していけばよいかなどのアドバイスを受けるのも良いでしょう。
家族から理解を得られることにより安心して治療に専念できるはずです。
本人を否定せず受け入れる
適応障害など精神疾患の特徴は、自分自身をコントロールできないことです。
頑張りたいのに頑張れない時に、家族から甘えているだけだと言われて一番辛い思いをするのは本人です。
家族が意見を押し付けることで家庭がストレスの場となることは避けなければなりません。
病気の辛さは本人にしか分からないということを常に忘れず、受け入れるようにしましょう。
本人にストレスを与えない環境づくりをする
適応障害について家族の学びが進むとどうしても正論を言ってしまったり、干渉し過ぎてしまったりすることもあるでしょう。
適応障害の治療の基本は、ストレス因子から離れることです。本人がストレスを感じない環境を作ることはとても大切なことです。
特に気を使って外に連れ出そうとすることは適応疾患の人にとっては大きなストレスとなります。
環境づくりに悩んだときは、専門家のアドバイスを受けると良いでしょう。
Q&A
「頑張れない病気」に関してよくある質問にお答えします。
Q.頑張れなくなる病気は何ですか?
頑張れなくなる代表的な病気は以下です。
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うつ病
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適応障害
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燃え尽き症候群
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全般性不安障害
いずれも初期治療が重要です。症状があれば早めに受診しましょう。
Q.何事も頑張れないのは病気ですか?
全ての物事において頑張れないのは「うつ病」の可能性があります。
以下の1または2を含む、5つ以上の項目に当てはまり、かつ2週間以上続いている場合はうつ病を疑います。
心療内科や精神科に相談してみましょう。
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悲しく憂うつな気分が一日中続く
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これまで好きだったことに興味がわかない、何をしても楽しくない
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食欲が減る、あるいは増す
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眠れない、あるいは寝すぎる
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イライラする、怒りっぽくなる
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疲れやすく、何もやる気になれない
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自分に価値がないように思える
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集中力がなくなる、物事が決断できない
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死にたい、消えてしまいたい、いなければよかったと思う
Q.何もやりたくない病とは何ですか?
何もやりたくないと感じる病気に「無気力症候群」があります。
「アパシー・シンドローム」とも呼ばれます。
主な症状は意欲や主体性の低下、感情の起伏が小さくなる、無関心などです。
これらの症状は、強いストレス反応から身を守るための逃避行動とも考えられています。
人生において大きな目標を成し遂げた後に発症しやすい病気です。
Q.働く意欲がないのは病気ですか?
働くことがストレスの原因であるとはっきり分かっている場合は「適応障害」の可能性があります。
適応障害は、ストレスの原因から離れると症状が軽くなる特徴があります。
仕事のことが一日中頭から離れない「ストレス因子の囚われ」と、ストレスにうまく対処できない「ストレスコーピングの失敗」が見られる場合は受診を検討してみてください。
Q.家族がやる気がでないと言って寝てばかりいます。何か病気なのでしょうか?
意欲の低下が見られる主な疾患は以下が挙げられます。
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うつ病
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適応障害
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統合失調症
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無気力症候群
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燃え尽き症候群
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全般性不安障害
これらの疾患の区別は難しいため、医療機関を受診して検査を受ける必要があります。
家族を責めたりせず、受診をすすめてみてください。
他にも認知症や糖尿病、更年期障害などさまざまな可能性が考えられます。
まとめ
ストレスの原因がはっきりしていて頑張ることができないのは、適応障害の可能性があります。
適応障害は強いストレス反応によって心身に不調が出て、日常生活に支障をきたす精神疾患の一つです。
うつ病と間違われやすく、ストレスを受けてから3か月以内に発症し、ストレスを排除できれば6ヶ月以内に症状が消えるとされています。
治療法は環境調整とストレスコーピング、薬物療法です。
命に危険があるときは入院の措置をとることもあります。症状が重くなるほど家族の助けが必要になり、家族の疾患への理解が重要になります。
適応障害は早期に治療を開始できれば、比較的短期間で治療を終えることのできる病気です。
頑張れないことに対して周囲から甘えやサボりなど誤解を受けやすい病気ですが、少しでも気になる症状があれば、早めに心療内科や精神科の受診をおすすめします。
ディスクリプション
仕事や勉強が頑張れないのは適応障害かもしれません。
適応障害はストレスが原因となり引き起こされる病気です。
早く治療を開始すれば完治できる病気でもあります。
この記事では適応障害について、原因や症状、治療法をくわしく解説します。